帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ46)

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難破くん、例のことをまだ少しは引き摺ってるみたいだったけど、伍代くんと話したことで完全に吹っ切れたらしい。帰る時にはルンルンで、「メシ美味かったなー！」なんて、いつもの調子で笑っていた。

最上さんの件はこれで一件落着。

そして至って平穏な時は流れ、気づけば市松高校に入学してから5ヶ月が経とうとしていた。

入学…4月の頭からもうじき5ヶ月。今日は8月31日。つまり。

「最終日かぁ〜」

クーラーの効いた部屋の中。ベッドの上でぐぐっと伸びをして、そのままごろんと横になる。

桜がみんな散ってしまうと初夏が来て、本格的に暑さが増してきた今日この頃。世間は夏休みムード一色だ。それでもわたしは夏休みが始まってから最終日の今日まで、買い物以外で一歩も外に出ていません。

当然でしょう、だって陰キャだもの。みつを。

「なんか、過ぎたらあっという間だったな」

入学したばっかりの頃は、高校でも女子たちにパシられいじめられて生きていくんだって思っていた。だけど、あの日伍代くんに出会って、わたしの人生は大きく変わった。今のわたしは、市松での学園生活を、確かに“楽しい”と言える。

ちなみに今日、伍代くんは難破くんたちと釣りに行くらしく、お前も来ないかって誘われたけど丁寧にお断りした。だって夏休み最終日だし、午後から雨とか言ってるし。寝なきゃ損。

頼みごとを断れない生粋の陰キャのわたしがそうやって誘いを断れるくらいには、彼らとも打ち解けていた。

─────プルルルル……

「ん？」

そこで、あざらしに乗っかったスマホが音を立てて揺れる。難破くんあたりが釣れた魚の写真でも送ってきたのかな、なんて思いつつ、寝っ転がった体勢のままスマホを手に取る。

……その瞬間、わたしは一気に青ざめた。

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