## ページ41
-
大急ぎで出かける準備をして、バッグにスマホと財布だけぶち込んで家を出た。
待ち合わせ場所のコンビニで待っていたのは、難破くんと松。
「悪ぃな、休みの日にわざわざ呼びつけて」
「あ、大丈夫です。わたしも伍代くんが心配だったので」
よ！と笑う難破くんの足元で、お散歩が嬉しいのか、凄まじい勢いで尻尾を振った松がバタバタ荒ぶっている。
伍代くんのファッションチェックが入って、少しはマシなセンスになったとはいえ、それでもやっぱり難破くんの格好は派手だ。普通の高校生活に憧れる普通の男の子でも、やっぱり育った環境故の派手好きは深く根付いて離れないんだろう。
(…………ん？)
嬉しそうに飛びついてくる松に構いながら、ふと難破くんを見上げる。なんか、気にかけてた割にはえらく清々しい顔をしているというか。
どうかしたのかな、と思いながら見ていると、視線に気づいた難破くんは首を傾げた。
「どした？」
「あ、いえ……憑き物とれたみたいな表情してたので、何かあったのかなと」
「おォ〜、やるな姉崎。流石の観察眼だぜ。聞いて驚け、最上の野郎ブッ飛ばしやった」
「……へ？」
その言葉を理解するのにきっちり10秒。最上っていうと、伍代くんが警戒して、忠告までしてきたあの最上さんだ。2年のトップとかいう。
そんな強い人をぶっ飛ばした？……の割にはあの時以来怪我が増えた感じはしないけど。そもそも、最上なんて人、わたしですら知らないのになんで。
「も、最上ってあの最上さん？！」
「おう」
「誰かご存知なんですか……？」
「市松の野郎共に聞いてみりゃ、あのデブゴリラが最上っつーらしいからよ。とりあえずノした」
「ヤンキーこわ……」
雨降りそうだしとりあえず傘持ってくわ、みたいなノリで。
ていうか、あのデカ男が最上さん？だから伍代くんはあんなに警戒して、近寄るなって難破くんに言ったんだ。
それなのに。鉄みたいなグローブで相手を痛めつけて、本気で誰か殺しそうな強さの最上さんに、難破くんはあっさり勝っちゃったんだという。
なんか、心配した割には拍子抜け……。あわわ、と口元を抑えていると難破くんは「行こーぜ」と松を引き連れて歩いてくので、慌ててその後ろに続いた。
-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みお(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました！ (11月3日 2時) (
レス) @page39 id: 53a16e4f6e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月1日 15時
