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「伍代くん！」
「……姉崎？」
伍代くんを追いかけて、建設現場までやってきた。追っ手がいないことを確認し、簡易扉を閉めると、伍代くんはぎょっとしたようにわたしを見る。
「帰れっつったろ」
「あそこで帰れるほどわたし能天気じゃないので…帰りたいけど帰れなかったんです……！」
はい、ここで今度は救急箱の出番。ベンチに寝そべった伍代くんの傍らにしゃがんで、消毒液とガーゼを引っ張り出した。って言っても怪我は思ってたより重症で、わたしが持ってきた分で間に合うかは分からない。でもないよりマシだと、液に浸したガーゼを傷口に押し当てた。
……にしてもヤバいね、ボッコボコじゃん。主に顔。せっかくのイケメンが台無しだよ。治療しながら、わたしは思わずそのえげつない怪我に顔を歪めた。
「あんま無理すんな、血とかダメだろお前」
「いちばん無理した人に言われたくないです」
「っは、随分な口聞くじゃん」
それは君でしょ、この状況でよく笑ってられますね。って言うのはやめておいた。そして、無茶したことをよく分かっているらしい伍代くんは、それ以上言い返してくることはなかった。
もっと早く策を思いついて、ここまで酷くなる前に駆けつけてたら、結果は違ったのかな。こんなことしかできない自分に腹が立つ。
「……兄貴？」
「？！」
そこに、ガシャン！と音がして、金髪リーゼントの不良が飛び込んできた。白百合の制服を着てるうえに、「市松のやつらめ……」なんて呟いている。念の為、着替えてから来てよかった。ここで市松の制服着たわたしがいたらフルボッコにされてたと思う。
なんて言っていいか分からず目をぱちぱちさせていると、不良くんはわたしの顔を覗き込んで言った。
「兄貴の知り合いスか？」
「あ……えっと、そ、そんな感じです」
わたしの顔と救急箱を交互に見て、不良くんは目を輝かせて「兄貴を助けてくださったんですね！」と、フルボッコにするどころか感謝してくれた。吟子ちゃんといい、こういう純粋な目を向けられると死にたくなるんだけど。
そして何故か不良くんは、わたしの横にしゃがんでジッと伍代くんを見つめている。あの、気まづいのでできれば帰っていただけると。
「この顔、市松の…………」
「オイ！」
「うおっ、」
もしやバレた？と顔を青ざめさせた時、再び扉が開いた。次に飛び込んできたのは、こちらもボロボロな難破くんだった。
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みお(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました！ (11月3日 2時) (
レス) @page39 id: 53a16e4f6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月1日 15時
