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もし市松の人が金髪に白い特攻服のヤンキー……つまり難破くんを見つけて、喧嘩にでもなったらヤバい。さっきの伍代くんの話にもあったように、うちにはとんでもなく強い人がゴロゴロいるんだ。難破くんは強いけど、そんな彼でも勝てない相手がいてもおかしくない。

そしてそんな人に負けてしまって、白百合に通う真面目な男子高校生がヤンキー界を騒がせる特攻服だと分かってしまったら。難破くんの抱いた“ごく普通”の夢が壊れてしまう。それに優しいあの人たちはきっと、がっかりしてしまうから。

そんな訳で、何とかして止めないと、と思ったわたしたちはこっそり彼らの後をつけてきた。……んだけど。




「あのぅ……」




やってきたのは廃工場。中を覗き込むと、大勢の不良に囲まれた金髪特攻服姿の難破くん……ではなく、黒髪学ランの真面目モードの難破くんがそこにはいた。

なんと。早速正体バレとるがな。




「僕が市松に喧嘩売るなんてそんな……う、ッ!」

「!」




こんな状況でも、難破くんは落ち着いて冤罪を主張するけれど、ヤンキーの皆さんが聞き入れるとも思えない。真っ赤なグローブを嵌めた、ひときわ大きなボス的な男が、思いっきり難破くんを殴り飛ばした。まともに顔面に食らった難破くんはふらつきながら体勢を立て直すけど、今度は、さっきより重そうな一発がお腹に沈んだ。……ぅぅ、こわ。

それからあのグローブ、拳のところになんか入ってるっぽい。
とても人を殴ってる音じゃないっていうか…。メリケンサックみたいな感じで、鉄板とか入ってるんだろうか。てかどこでそんな物騒なの売ってるの?そして製作者はどういう気持ちで作ってんの?

……って、そんなどうでもいいこと考えてる場合じゃない。




「ど、どうしましょ……!」




よく見るとその場には白百合の制服を着た女の子もいて。あの子がいる手前、派手に喧嘩ができないん難破くんは、ひたすらに殴られ続けていた。ブシッ、と散った血が地面を赤く染めていく。




「…姉崎、お前は帰ってろ」

「えッ」

「間違っても参戦しようなんて馬鹿げたこと考えんなよ、いいな」

「伍代く……って速っ」




耐えられなくてぎゅっと目を覆った時、伍代くんが静かに踵を返した。どうしたのか聞こうと振り返った時には、もう伍代くんは向こうの方へ走り去っていた。いや足速いな。

取り残されたわたしは、とりあえず廃工場から離れることにした。

……何だか、嫌な予感がした。







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みお(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました! (11月3日 2時) (レス) @page39 id: 53a16e4f6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ。 | 作成日時:2023年11月1日 15時

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