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わたしの奮闘も虚しく、瓦解した空気が元通りになることはなかった。それでも皆さんはつとめて明るく振る舞ってくれて、なんてことないいつもの日常、みたいな時間が流れた。
「……じゃあ、俺これで」
伍代くんが席を立つので、ハッとして時計を見る。気づけばかなり遅い時間になっていて、わたしもそろそろ帰ろうと、広げていたドーナツの袋をそそくさと仕舞った。
「わ、わたしも失礼します…！」
まともな高校生活してないけど一応高校生だ。明日も学校があるし、早く帰って準備しなくちゃ。明日のお弁当も作らなきゃだし。
……だけど。
「オイ馬鹿言ってんじゃねえお前ら泊まってけよ」
「え？」
さも当然とばかりに難破くんが言う。困ったわたしと伍代くんが顔を見合わせる前で、「いいよね？」と難破くんが振り返ると、ご家族の皆さんは一斉に口を揃えた。
「こんな夜中に他所様の子供送り出すわけにいかねえだろ！女の子もいるし！」
「いや、姉崎は俺が送ってくし……」
「へ？！」
「泊まってけ！」
「そうだよ、もう風呂湧いてっから入ってこい！」
「姉さん、パジャマあたしのでいー？」
この家族、絶望的に人の話を聞かない。申し訳ないし帰ります、伍代くんも送ってくんなくていいです、って言っても誰も聞き入れようとしない。わたわたしていると吟子ちゃんがわたし用の寝巻きを持ってきてくれて、ぼふんっと顔面目掛けて投げつけられた。
「いや、その……！」
と、そこで。
「ツレん家だろ。遠慮なんてしてんじゃねえよ」
きっぱりと端的に。猛さんの言葉に、ひゅっと息を飲んだ。そして、多くを語らない、その話しぶりに。
「……おう」
「は、はいっ」
わたしも伍代くんも、素直に頷いた。
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みお(プロフ) - 面白くて一気読みしちゃいました！ (11月3日 2時) (
レス) @page39 id: 53a16e4f6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月1日 15時
