帰らせて下さい、切実に。【ナンバMG5】 (ページ14)

今日:5 hit、昨日:67 hit、合計:23,477 hit

## ページ14

-

「…………それから、昨日のアレだけど」

「？！」

ヤンキー相手とは思えないほど平和な会話ができていた。
しかし、恐怖に満たされていた心がほっこりと休まったタイミングで、伍代くんがとんでもなくえげつない爆弾を落としてきた。

やっぱ昨日の夢じゃなかったんだ。

……あ、よく見たら伍代くん、腕に包帯巻いてるし！(遅い)
やっぱ折れてたんだねあれ。いっったかっただろうなぁ…とか言ってる場合じゃない。昨日見た金髪は、先輩たちが血眼になって探してる白い特攻服の男で間違いないだろう。それから、裏切りの件で追われてる伍代くん。あの話はなるべく誰にも知られたくないはず。

「ぁ、ええと、その…………！」

「そんな怖がんなって。その感じ見てっとお前、貼り紙の男がアイツだって知ってんだろ。その正体が白百合のシャバいパンピーもどきだってことも」

「う……まぁ…………」

市松高校のド向かいにある白百合高校。そこは市松と違ってごく普通の、わたしが焦がれた青春をめいっぱい謳歌できそうな学校。そこに通う、パッと見普通そうな高校生があのヤンキーだなんて。

それが知れたら先輩たちは総力をあげて白百合にカチコミに行くんだろう。10万欲しさに忘れてたけど。そうなったら抗争どころですまない。あの時、血迷って先輩たちに昨日のことぶちまけなくてよかった。

「ぃ、言いませんよ……わたし、喧嘩とか御免ですし」

「おー。他言無用で頼むわ。……ところでお前、ツレの女ふたりにいつもパシられてんだろ？」

「え？まぁ……」

すくっと立ち上がって、ズボンに着いた砂を払いながら、伍代くんがくるりとこっちを振り返る。やっぱりそこまで知名度は広まっていたのかと思うとゾッとした。

そんなわたしの前にしゃがんで、目線を合わせた伍代くんは、僅かに口角を上げて言った。

「なあ、俺と来いよ」

-