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涙を散らして、ありったけの声で叫ぶ。
怖い人たちにこんなことを言った後で何が待っているか、そんなの分かってたけど。彼らがどうしようもなく許せなかった。
……あーあ。せっかく最近楽しくなってきたのに。お母さんお父さん、不甲斐ない娘でごめんね。
「汚い、ねえ……よく分かってんじゃねーか」
すると、向こうの方でこっちに背を向けて座っていた男が、ゆらりと立ち上がった。振り返った顔には大きな傷。ギラついた視線を向けられた瞬間、背筋にゾクゾクと寒気が駆け上がった。
……あの人は、やばい。
「俺はもう落ちる所まで落ちちまったからよー。どんな汚え手でも使うんだわ」
「っ、」
「オイ！姉崎から離れろ！そいつは関係ねーだろ！」
「関係あるから連れてきてんだよ、ちったァ頭使え」
バタバタ暴れながら島崎くんが叫ぶけど、そんなのお構いなしに、傷の男はわたしの方へ真っ直ぐ歩いてくる。そして首を掴まれ、ぐっと引き上げられるまま、目線が合った。
宙ぶらりんになった足にはもう力が入らない。あまりの恐怖に抵抗もできず、わたしは涙を零しながら震えた。
「そんなに直樹が大事なら、アイツのために死んでくれ」
「…………へ？」
「姉崎！」
「ッ！」
男の、わたしの首筋を掴む腕に力がこもる。とうとう息ができなくなって、かひゅ、と喉から声にならない声が漏れた。どうにか逃れようと足をばたつかせるけど、そんなの意味はない。
島崎くんの叫び声も、下っ端の不良たちが笑う声も、全部が遠くなっていく。耳鳴りのような音がして、ここで死ぬんだと悟る。
ぷつん、と耳鳴りが止んで、意識が落ちかけた。
……その時。
「……！」
首を絞めていた手が僅かに緩む。そして遠く遠く聞こえてくる、バイクの排気音。薄ら目を開けると、傷の男が好戦的に瞳をギラつかせていた。
この音、まさか。
黒目だけを動かして音の方を見る。バイクをふかしてやってきたのは、ずっとずっと会いたかった、あの人。
「遅えぞ直樹。あんまりツレを待たせるんじゃねえよ」
「真宮……お前マジで腐っちまったみてえだな」
……ヘルメットを脱いだ伍代くんは、今までに見たことないくらい怒った顔をしていた。
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はるちよ - とても面白くて毎日読み返しています！リクエスト良いですか？！今の五代くんの話が終わったら寂しくなってしまうので、もしまめこさん さえよえれば、五代くんの話を他にも書いて欲しいです。 (11月10日 18時) (
レス) id: b6e7a94813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年11月3日 12時
