帰らせて下さい、切実に。Ⅱ【ナンバMG5】 (ページ20)

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わたしからガツンと言ってあげるよ。

桃花に言った。すると彼女は目を見開いて、何度も首を振った。

『ダメだよ、そんなことしたらどうなるか分かってるの？次はAが目つけられるよ』

『それはそれでしょ。だからってほっとくのは違うじゃん』

桃花の口からは言いづらいだろうから、わたしから先生にも言うつもりだった。

先生たちに相談すれば、いじめっ子にそれなりの指導がいくだろうと思ったから。そうすれば彼女たちは表立って桃花に関わることはできなくなる。そうやって少しづつ距離を広げ続ければ、いずれいじめはなくなるだろう。その間、逆恨みでもしてまた桃花に手を出そうものならわたしが守ると。

…………そんな、軽い気持ちでいたわたしが間違いだった。

『……え？今、なんて？』

『だから、いじめって言っても証拠がないとな……大事にはできないんだよ』

ふたりが桃花を呼び出した時、わたしが代わりに行ってズバッと言ってやった。桃花を守るためだと、怖いのを必死で踏ん張った。

それから担任に相談しに行ったら、このセリフが返ってきたのだ。

『証拠って……！そんなのなくても周りの空気感でわかりますよね……それに傷ついた桃花が何よりの証拠じゃないですか！』

『いや、先生も助けてあげたいのは山々なんだ。だけど身勝手に動く訳にはいかないんだ』

大人たちは、“身勝手に動けない”なんていう“身勝手な”言い訳を並べる。あくまで止めようとはしてる、みたいな見苦しい言い訳。

結果、学校側がいじめの対処に動くことはなくて。桃花へのいじめはエスカレートしていった。

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