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花御の攻撃を避けつつ建物の中に入るも、背後から迫る気配は大きくなるばかり。Aは恐怖でもたつく足を必死で動かして走っていた。
「来るぞ!」
加茂が素早く身構える。その声に振り返ると、花御の周りに数個の蔓の繭が浮かんでいる。それに触れて良いことがあるかないかなど一目瞭然だ。
「『止まれ』」
棘の呪言で繭が空中で“止まる”。
そこでAが指笛を吹くと、空を飛んでいた朱雀が待ってましたとばかりに建物の天井を突き破って降りて来た。その大きな翼に纏う炎を放てば、繭は一瞬にして灰と化す。
「『白蘞』───────『穿血』!!」
花御を護るように浮いていた繭が消えると、加茂が掌から出した血を矢状にして飛ばす。
━━━━━━━ガッッ!!
(凄い、あのでっかいのに傷つけたでこの人)
流石は加茂家の血を引く男。その実力は並以上のようだ。しかし、ぼーっと呆けている場合ではない。傷をつけたとはいえ、あのくらいなら直ぐに修復してしまうだろう。花御の動きが止まったその隙に、A達は一目散に走り出す。
(わぁぁああ怖っ、私らあんなんに勝てるん?2級1人に準1級3人揃ってんのにこっちが押されてんねんで、ほんまに大丈夫なんかな……)
棘が動きを止め、襲い来る植物はAが燃やし、そこを伏黒と加茂で本体を攻撃する。そうやって距離を取りつつ帳の外を目指してひたすら走るのを繰り返しているが、いつどこでこのバランスが崩れるかは分からない。現に呪言の効きが悪くなっているのは確かだし、Aたちも確実に疲労が溜まっていた。
これでもし向こうが呪言の対処法に気づき、Aがやられてしまえば待っているのは『死』。
本当に本当に、命懸けの交流会になってしまった。
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時