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激昂した野薔薇を抑え、グラウンドへ戻る一行。
Aは穴だらけになった野薔薇のジャージを見て、悲しそうに眉を下げていた。
「派手に穴開けられたなあ、可哀想に。後で私の貸したろな」
「え、いいの?!」
「うん、ちょっとちっちゃいかもやけど…………」
「ぜんっぜん大丈夫!やったあ!」
A先輩のジャージとか絶対カワイイじゃん!と嬉しそうな野薔薇を見て頬を綻ばせたAは、ふんふんと鼻歌を歌いながら足取りを軽くする。
「あ、そういえばあれ本当なの?術式使えないって。真希さんは呪力がないって言われてたけど」
「あー…………」
「本当だよ」
その言葉にほんの少しだけ歩くスピードを緩めるAに対し、真希は至っていつも通りだ。そして「だからこのメガネがねえと呪いも見えねえ」と眼鏡を外してみせる。
「私が使うのは呪具。初めから呪いが籠ってるもんだ。
お前らみたいに呪力を流してどうこうしてるわけじゃねえよ」
「じゃあ、なんで呪術師なんか…………」
「嫌がらせだよ」
「え?」
「見下されてた私が大物術式になってみろ。家の連中、どんな面すっかな」
呪力がないと蔑まれて生きてきた真希。
彼女は生まれながらに呪力を持っていた双子の妹と比べられ、貶され、誰よりも下だと言われてきた。
だからこそ、そんな奴らを見返してやりたいと思うのだ。「楽しみだ」と笑う真希に、野薔薇の茶色い瞳がきらりと光った。
「真希はなぁ、めっちゃ頑張り屋さんなんやで。私、真希大好き」
「聞こえてんぞー」
「あ」
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年2月12日 12時