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「……こんな個性でも夢見ちゃうんだよ。さァ負けてくれ」
ぼそりと、心操の口から零れた言葉。蚊の鳴くような小さな本音を、いったい誰が拾えただろう。
しかし、その声に反応するかの如く、出久が動いた。
「！」
その瞬間、辺りに凄まじい衝撃波が走った。洗脳にかかった出久はこのまま場外へ押し出されて負ける……そう思っていたAたちは、何事かと目を見開いた。
しゅうう、と砂埃が舞うその中心で、出久がゆっくりと心操を振り返る。肩で息をする出久は正気を取り戻していて。真紫に染まった指先が震えていた。
『━━━━━これは……緑谷！！踏みとどまったぁあ？！？！』
自ら個性を暴発させ、その衝撃で洗脳を解いたのだろう。
既のところで場内に留まった出久は、今度はしっかりと心操の方へ、真っ直ぐに駆け出した。そして心操は、再び出久を洗脳にかけるべく、彼の心を揺らす言葉を吐きかける。
「指動かすだけでそんな威力か、羨ましいよ……俺はこんな個性のおかげでスタートから出遅れちまったよ。恵まれた人間には分かんないだろ」
心操の『洗脳』は、そのネタが分からない上で戦えば確実にかかると言っても過言ではないし、プロにも充分匹敵するものだ。
……しかし、だからといって、胸を張って「ヒーロー志望だ」と言えるようなものでは決してない。華やかな個性を宿して、自由に羽ばたけるような者たちとは違うんだと、心操は叫んだ。
「━━━━━誂え向きの個性に生まれて、望む場所へ行けるヤツらにはよ！！」
その言葉は紛れもない、彼の哀しい本心だ。けれど出久は、観客席にまでハッキリと届いた声に惑わされることはなかった。
確かに出久は恵まれた。……“個性に”じゃなく、“人に”、だ。
「おまえが出ろよ！！」
人に恵まれたから、色んな人に背中を押してもらったから、それを無下にするわけにはいかない。
何とか出久を押し戻そうとする心操だが、これまで鍛えてきた出久とでは力に差がありすぎる。出久はぐいぐいと心操を場外ラインまで押し飛ばし、そして。
「んぬあぁぁあああああ！！！！」
勢いよく背負い投げた。
宙を舞った心操の身体は、場外へと叩きつけられる。Aがホッとしたように固まっていた表情を崩すと、試合終了のゴングが鳴り響いた。
「心操くん場外！緑谷くん2回戦進出！！！」
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まめこ。(プロフ) - 蓬生 綾さん» (°д° )!!今確認してきましたがその通りですね…！すぐ訂正しますね！報告ありがとうございます！ (6月2日 22時) (
レス) id: e800b36b66 (このIDを非表示/違反報告)
蓬生 綾(プロフ) - 凄く面白いです！更新頑張ってください~！ページ7のマイク先生の轟くん紹介台詞ですが夢主ちゃんが2位だったので正しくは3位•１位ではないでしょうか、、？ご報告失礼します。 (2023年2月12日 1時) (レス) @page7 id: 78f3750f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年2月7日 11時
