## ページ7
･
『お待たせしました！！続きましては〜こいつらだ！！』
リカバリーガールの治療を受け、折れた指先に包帯を巻いた出久が戻ってくると、続く第2試合に出場するのは轟と瀬呂だ。
『優秀！優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ！！ヒーロー科瀬呂範太！！！バーサス！！3位･1位と強すぎるよ君！！同じくヒーロー科轟焦凍！！！』
(そろそろぶっ叩かれるわよ)
第1試合に引き続き、プレゼントマイクの失礼な実況は相変わらずだ。Aはくるくると髪をイジりながらスタジアムを見遣って、小さくため息を吐いた。もちろん誰が勝ち上がってこようが負ける気はないが、少し、轟が気がかりだったから。
「まァ━━━━━…勝てる気はしねーんだけど……」
そんな事情も露知らず、というように、歓声の中で戦いは幕を開ける。
そこで先制攻撃を仕掛けたのは、グッグッと伸びをしていた瀬呂。
「つって、負ける気もねー！！！！」
瀬呂の肘から伸びたテープが幾重にも轟の胴体に巻き付き、彼の自由を奪う。間髪入れず場外目掛けて引き摺り出す洗脳の早業に、思わず「おお」と声が漏れた。
桁違いの強さを誇る相手に迂闊に近づくのは宜しくない。そこで距離を置いたまま、なおかつ反撃の隙を与えぬスピード技で仕留めにかかった瀬呂の技術はなかなかに大したものだ。
『場外狙いの不意打ち！！この選択はコレ最善じゃねえか？！
正直やっちまえ瀬呂━━━━━━━！！！！』
しかし、
「………………悪ィな」
地響きと共に、スタジアムが大きく揺れた。ひんやりとした冷気が漂って、ぎゅっと閉じた目を開ける。するとドームを埋め尽くす勢いで形成された巨大な氷塊が、瀬呂を氷漬けにしていた。
「…………瀬呂くん、動ける？」
「動けるはずないでしょ…痛ぇえ……」
「瀬呂くん行動不能！！轟くん2回戦進出！！！」
瞬きひとつする間に起こった出来事に、自然と瀬呂へのドンマイコールが沸き上がる。彼は何も悪くないし、なんなら轟相手にいい動きをしたというのに。Aは瀬呂が気の毒で、それでもやっぱり飛び出た言葉は「ドンマイ」だった。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まめこ。(プロフ) - 蓬生 綾さん» (°д° )!!今確認してきましたがその通りですね…！すぐ訂正しますね！報告ありがとうございます！ (6月2日 22時) (
レス) id: e800b36b66 (このIDを非表示/違反報告)
蓬生 綾(プロフ) - 凄く面白いです！更新頑張ってください~！ページ7のマイク先生の轟くん紹介台詞ですが夢主ちゃんが2位だったので正しくは3位•１位ではないでしょうか、、？ご報告失礼します。 (2023年2月12日 1時) (レス) @page7 id: 78f3750f7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめこ。
| 作成日時：2023年2月7日 11時
