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｢お願い、こいつ死にそうなんだ｣
蚊の鳴くような小さな声が聞こえる。
その声の方を見ると、そこには小学生が2人。
背の高い方が泣きながら助けを請い、その足元には一回り身体の小さい子供が横たわっていた。
｢よかった。生きてた…………｣
攫われた2人の子供は彼らで間違いないだろう。
小さい方も意識を失っているだけで生きているし、心から安心したように憂太が呟くも、その声はぴしゃりと切り捨てられた。
｢よくねえよ、ちゃんと見ろ｣
｢！｣
｢デカい方も完全に呪いにあてられてる。2人ともいつ死んでもおかしくねえ｣
真希の言う通り、子供は2人とも瀕死だった。
お願いだから助けてくれと何度も言う子供も辛うじて意識はあるが、頬に大きな傷跡がある。何より変色した左目が、彼の命が危ない何よりの証拠であった。
｢そんな！どうすれば……｣
｢どうにも！助けを待つしかねえよ！｣
式神を落としたAにまともに戦える戦力はないし、仕込み杖の細い刃じゃとてもここから出られない。尽く戦闘手段を封じられ、助けを待つことしかできないAたちを、更なる悲劇が襲う。
｢…………誰もがお前みたいに呪いに耐性があるわけじゃねーんだよ｣
｢真希？｣
─────ドサッ
苦しそうに息をしていた真希の身体がぐらりと傾き、地面に崩れ落ちる。慌てて駆け寄ると、太腿の傷が膿み、小さな目のようなものに覆われ始めていた。その悲惨な傷口に、Aは口元のガムテープを引き剥がして悲鳴をあげた。
｢何だこの傷…………呪いがかかってるのか？！｣
｢わぁぁああッッ、真希死んだら嫌ぁぁぁッ！！｣
｢死…………｣
泣き叫ぶAの口から飛び出した『死』という一文字。このままでは彼女は死んでしまう。我を失ったAは壊れたおもちゃのようにぎゃいぎゃい喚く事しかできず、憂太はあまりのショックにその場に座り込んだ。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月4日 15時
