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憂太の階級はまさかの『特級』。目を擦ってもう一度見てみるが、間違いではないようだ。
信じられないとばかりに真希を見やると彼女もAの方を見ていて、思わず「マジ?!」と2人で声を漏らした。
(特級って…………1級よりまだ上ってこと?五条せんせぇくらいしか聞いたことないで?!)
初対面で揃って武器を彼に向けた時、そんな憂太を守ろうと現れた呪霊・里香は確かに強力だった。しかしこの弱々しそうな少年に特級なんて位が付けられている事がにわかに信じ難くて、あまりの驚きに恐怖も涙も引っ込んだ。
が、ぼうっと呆けている場合ではない。
「禪院さん、蕨美さん!」
「「!」」
「後ろ…………」
焦ったような憂太の声で我に返る。
気づくと足元には大きな影が落ちていて、影が伸びてくる方を見た時には遅かった。
廊下の向こうからぬっと現れた巨体。
即座に戦闘態勢を取ったが間に合わず、2秒後には勢いよく吹き飛ばされ、空へと投げ出されていた。
「うわわわわ、す、すざk…………ッ!」
あの春の日から新たに調伏した式神『朱雀』で迎え撃とうとするが、震えた手で
「無駄にでけえな!」
真希も呪具を振るうがその巨体にはまるで敵わず、がぱりと開いた口の中に3人まとめて落っこちた。
「ぎ、ぎゃああああああああッッッ!!!!」
────ご、ごちそ、さま、ぁぁあん
ゴクン、と不気味な音と共に飲み込まれたAの断末魔の声が、呪霊の腹の中へと消えていった。
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作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年3月4日 15時