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━━━━━━━━何やかんやあって放課後。
この呪術高専は全寮制で、在籍している生徒にひとつずつ部屋が与えられる。Aはキャリーケースを引きながら、指定された部屋の前にいた。
｢学校の寮ってもっとショボいと思ってた｣
｢そうか？でも前までAが住んでた日本家屋の大豪邸に比べたらショボいんじゃねえの？｣
｢やめてって真希｣
お嬢様にこの部屋はちょっとハードル高くねえか？
と揶揄ってくる真希を肘で小突き、ダンボールが積まれた部屋の中にズカズカと入っていった。
部屋は小さくも大きくもない和室。
畳の匂いは好きだし、なんだか懐かしいなあと思いながら荷解きを始める。
｢相変わらず過保護やなあ、母様も父様も｣
親に内緒で勝手に入学を決め、東京へ発つ3日前になってから｢私、これから東京の呪術専門学校に入学します｣と宣言したA。初めこそは驚きを隠せない様子で、無理矢理にでも止めようとしてきた両親や召使いたちだったが、どれだけ言っても折れないAの頑固さに打ちのめされ、渋々認めてくれたのだ。
しかしまあ、いきなり上京を決めたというのに、ダンボールの中には生活用品がぎっしり詰まっていた。
手間をかけてしまったなと少しだけ申し訳なくなったが、親に迷惑をかけるのは子供の特権だと自分に言い聞かせて頑張っている。
｢……………………あ、これ｣
そこでふと、作業の手を止めた。
ダンボールの中から1枚のファイルが出てきて、中には難しそうな文字の並んだ書類が何枚か入っている。
｢これって先生に出さなあかんやつやん、しかも提出今日やし。あー気づいてよかった｣
それは、入学に必要な書類だった。どうやら荷造りをする時に荷物と一緒にダンボールに入れてしまったらしい。早いとこ持っていこ、とAはファイルを片手に部屋を飛び出した。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2021年3月4日 15時
