【番外編】準2級なんて称号を与えられたけどやっぱ呪術師は怖いです。【呪術廻戦】 (ページ28)

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───────C棟

ガコッ、と盛大に響いた足をぶつけた音を誤魔化すことなどできるはずもなく、あの後、呆気なく呪霊に見つかってしまった。

部屋の中の呪霊が一斉にこちらを振り向くとAは勢いよく回れ右をして、弾かれたように駆け出していた。もつれる足を必死で動かし、食堂から離れた部屋に飛び込み、ドアを閉める。

｢はぁッ、はァ、………………ッ｣

呪霊が追って来ていないのを確認すると、Aはその場に崩れ落ちた。あの瞬間は恐怖のあまり息をすることすら忘れていたようで、呼吸困難に陥ったみたく、死ぬ気で息を吸って吐いてを繰り返した。

｢ど、どうしよ…………とりあえず真希に……｣

ガタガタと小刻みに震える手をポケットに伸ばし、スマホを取り出す。電話帳から『禪院真希』の文字を探してタップしようとするが、不意にその指が止まった。

｢かけてええんやろか………………｣

目を瞑ると、ここに入る前の会話が鮮明に蘇った。
瞼の裏に映った景色が、Aに“助け呼んでええの？”と思わせた。

『それぞれの棟で見つけた呪霊はソッコーぶっ飛ばして、さっさと昼飯行こうぜ』

1棟ずつ皆で回ってたら日が暮れると言った真希の声。
皆はそれぞれ担当する棟で、今も呪霊と戦っているかもしれない。そんな時に助けなど呼んで、本当にいいのだろうか。

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