□□□ ページ16
・
家入の所へ行って消毒をしてもらい、絆創膏を貼り終わる頃には、Aはいつもの機嫌を取り戻していた。
「わざわざごめんね。ありがとう」
「しゃけしゃけ」
気にするなよとでも言いたげに笑う棘。その態度に、彼はつくづく優しい人だなあと実感した。
若干足を引き摺り気味に歩いているとまた自分の背中を示すから、さすがにこれ以上は頼まれへんよと眉を下げる。
「明太子〜」
「おー、おかえり」
教室の扉を開けると、中には退屈そうにスマホをいじるパンダがいた。あの手はスマホ対応なのだろうか。
「あれ、Aその足どした」
「ツナマヨ」
「ナルホドそれで花壇行ってもいなかった訳だ。納得」
「しゃけしゃけ」
代わりに水やっといたぞ、というパンダの言葉にハッとする。確か棘はジョウロを持って花壇に来ていた。
間違いなくこれから水やりをするつもりだったのだろう。それなのにAを医務室まで連れていってくれた。何だか申し訳ないような嬉しいような、そんな不思議な気持ちになった。
ところで、先程から真希がいない。
どこへ行ったんだろうとAがキョロキョロしていると、その意図を何となく察したパンダが口を開いた。
「真希なら任務でいないぞ。だいぶ前に出かけたからもうじき帰ってくるんじゃないか?」
「そ、そっか……………」
それなのにあの日の真希の言葉は鮮明に覚えていて、ふとした時にフラッシュバックしてくるのだ。
・
194人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まめこ。 | 作成日時:2021年3月4日 15時