愛する貴方に真紅の薔薇を。２【文スト】

70話 : 愛しのリトルシスター ページ24

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｢甘くて美味しいですぅ｣


キャラメルソースのかかったクレープを頬張ったAは、そう声を漏らした。その横でいちごのクレープを食べる鏡花も嬉しそうだ。


｢そっちもおいしそう｣

｢半分こしますか？｣

｢うんっ｣


Aのクレープをひとくち食べると、鏡花は｢私のもあげる｣と自分のをAに差し出した。


｢ありがとう。ええと…………｣

｢Aです。AさんでもAちゃんでもお姉ちゃんでも、好きなように呼んでください｣

｢………………お姉ちゃん｣

｢げほっ？！｣


まさかのチョイス。
冗談半分で混ぜた選択肢だったのだが、鏡花は嬉しそうにお姉ちゃんお姉ちゃんと呼んでくる。なかなか照れくさいが、まるで鏡花が実の妹のようで、Aも嬉しくなった。


｢ふふっ。じゃあお姉ちゃんが鏡花さんの行きたい処へ連れて行ってあげます！敦さんも行きましょ！｣

｢あ、ちょっと待ってよ2人ともっ！｣


手を繋いで駆け出す2人を慌てて追う。
｢僕いつまで振り回されるんだ……｣と呆れた敦だったが、Aと鏡花の本物の姉妹のようなやりとりに、何だかほっこりした。

それに何より、あのAがあんなにも無邪気に笑っていることが嬉しかった。普段は我儘を言わず、1歩離れて皆を見守っているAだ。そんな彼女が我を忘れてはしゃいでいる姿などレア中のレアではないだろうか。


｢敦さーん、行きますよーぅ｣

｢ん、分かったよ｣


早く早くと手を振るA達の方へ走っていく敦。
だが何もかも忘れて遊んでいられるのは今だけだ。
後にそれを身をもって知ることになるとは、今のAたちは知らない。









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