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建物の外に出ると、マグナは2着のローブを投げて言った。
｢どんな手を使ってでもいいから今から俺の攻撃魔法を防ぐか避けるかしな。それができればお前らも晴れて“黒の暴牛”の一員。このローブをくれてやる｣
条件は至ってシンプルなもの。しかしその難易度が高いことはAはよく知っていた。初見なので魔法の詳細は知らないが、さっき飛び交っていた火の玉は彼によるものだろう。一度食らいかけたからこそ分かる。……あれに当たれば一溜りもないと。
｢行くぞ！魔導書構えろチビ共！！｣
｢やるしかない……｣
｢いらっしゃいませ先輩ィィイイ！！！｣
Aの使う“双獣召喚魔法”は全ての生き物が対象。
試験の時のようにドラゴンを召喚して炎を出したり、使い方によっては水や風も繰り出せる万能な魔法だ。つまり相手の能力さえ分かればそれに見合った動物をぶつけられる、言わば後出しジャンケン的なもの。Aは魔導書を構え、ぐっと両足を踏ん張った。
炎の魔法を使うというネタは割れている。あとは向こうの出方を見極め、対策を……────
｢炎魔法“
対策を……、
(──────講じる暇がない！)
ぶん投げられた2つの火の玉は猛スピードでAたちの方へと突っ込んでくる。どうやらさっき見たのが本気ではなかったらしい。
……そして瞬時に悟る。これを防ぐのは不可能だと。
どれだけ分厚いガードでもあの勢いは殺せない。猛獣の爪や牙で切り裂いたとしても、裂かれて分裂した火の玉を食らえばダメージは倍になる。反撃も防御もできない。なら、
(“避け”に重点を置く……！)
即座に魔導書を開くとほぼ同時、Aが立っていた場所に超高温の魔球が突っ込んだ。
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作者名：まめこ。
| 作成日時：2022年3月13日 10時
