第二十ニ話 M side ページ22
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たまの一言で一気に頭に血がのぼっていく。
「何それ。藤ヶ谷さんとキスして他の人ともキスしたの?何で断らなかったの?…それともたまは…嫌じゃなかったの?」
そう問えば、“断る暇なんて与えてくれなかったの。されるがままで…それも仕事のうちだからって言われた”と小さく呟いた。初出勤にして、たまにこの仕事を紹介した事を酷く後悔した。仕事の話はニカからざっくりとしか聞いていなかったけれど、キスも仕事に含まれているなんて俺は聞いてない。
たまが俺以外の人とキスなんて耐えられない。それも断る選択肢もないのだというのなら尚更だ。俺はたまの恋人でも友達でもなんでもない。だけどこうやって、ずっと片思いしてた君と再会出来たから…もう絶対誰にも触れさせたくない。
『何で俊くん怒ってるの?俺達恋人同士じゃないよね?』
何もわかってない様子のキョトンとした顔で見つめてくるたまをソファに押し倒す。今にも折れそうなほど細い腕を掴み固定し、何か言いたげなたまの唇を強引に塞ぐ。
『…っぁ…んっ…まって…』
「待たない。藤ヶ谷さんに付けられた痕、消毒するから時間頂戴?」
『んっ…くすぐった…いっ…ぁ』
付けられた痕に上書きするように唇で強く吸って舌を這わせる。その度にたまの口から溢れる甘い吐息が俺を更に興奮へと導いていった。
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作者名:みやたま | 作成日時:2021年10月16日 0時