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第十一話 T side ページ11

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PM 21:30

今日、俊くんはお友達と飲みに行っているみたいで遅くなると言っていた。

先にお風呂を済ませた俺はベッドに腰掛けると、"俺からのプレゼント"と言われ、俊くんから貰った携帯電話を手に取った。


連絡先は俊くんの電話番号と、俊くんのアカウントだけがあるメッセージツールしか入っていない。

これからこんな俺にも新しい友達が出来たりするかな、なんて不安を抱く。


人生を諦めかけていた俺に希望を与えてくれたのは俊くんのおかげで、それならせめて俊くんに恩返しがしたいと思った。




「仕事探さないと…このままタダでここに住まわせてもらうのはさすがに甘え過ぎだよな…」



しかしそんな事を言っても高校を卒業してから一度も職に就いた事がない俺は、仕事の探し方すら分からない。

そもそも自分に出来る事なんてあるのだろうかと思考を巡らせるも答えは出てこなかった。


自分が今置かれている状況に大きなため息を吐けば突如、手の中にある携帯電話が震えた。



「もしもし、俊くん?どうしたの?」

『んーん、ちょっと声聞きたくなった。もうすぐ帰るけど食べたい物とかある?今コンビニ寄ってるとこなんだ。』



電話越しでも伝わる、柔らかい俊くんの声。
その声を聞いていると落ちつくのと同時に少しだけ胸が熱くなる。



「ううん、俺お腹すいてないからいいよ?」


食事、お風呂、身の回りの事を何から何までしてもらってばかりでは遠慮してしまうのも当然で。

やんわりと断れば電話の向こうからまた優しい声が聞こえてきた。



『たま、気遣って遠慮なんてしなくて良いからね?
オススメのアイス買って帰るから良い子にして待ってるんだよ?』



そんな俊くんの温かさに胸がきゅっ、となった。

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作者名:みやたま | 作成日時:2021年10月16日 0時

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