HPB編・宮野 ページ18
.
確かに酒を取りに行くのは間違いではないが、ここだけは嘘を使わせてもらった。あと、5号を冷蔵庫に入れて分かったけど意外と圧迫感がある。ケーキを冷蔵庫から出し、ロウソクを5本ほど立てて向こうへ運ぶ。
「え?! え、ちょちょちょ!! 待っ、待って?!」
「はーい! サ〜プラ〜イズ!」
「マモちゃん振り向くのはえーよ」
「おめでとうございます!」
「お、やっとかぁ。おめでとー」
飲んでた割に達央が落ちないと話が出た時は少し焦ったけど、何とか場を凌ぎ意識を逸らせた。真守くんには申し訳なかったが、明日何かあったっけ? など少し思わせ振りな態度をして「何も無いね」で終わらせたこと。その時の顔は罪悪感が重くのしかかるぐらいの顔をしていた。
予想外にも真守くんが早く振り向き、私が持ってたケーキに気付き思わず立ち上がって本気の驚き方をしている。その様子を見て、残りの男らは微笑ましく口々に祝いの言葉を述べる。忘れられてる、そう確定していたそのさなかの出来事。サプライズは大成功と見て、男共同様微笑む。…あれ、真守くん泣きそうになってるじゃん。
「凉姉ちゃんの!! ばか! 忘れられたかと思ったんだよ?!」
「ごめんって、だから私を潰さないで?」
「やだもう潰す…」
「え、ちょ、それは困る助けて」
ケーキをローテーブルに置くや否や真守くんが抱き着いて来て、身長差で私が潰されかける。真守くん、180ちょいなのに対して私は160前半…20cmぐらい差があるからとんでもないことになってる。さなから大型犬に襲われてる子供、ぐらいになっていて周りは助けるどころか笑ってる。あぁ、でも紀章だけ口では「やめろ」とは言ってる。確かにこの芸当は真守くんじゃないと許されないところはあるから、本当に特権。
「真守くん、ケーキ食べよっか? ロウソク消す時になんかしたら良くなるとかならないとか言うじゃん?」
「…うん」
「こんな弱いマモちゃん見たことない」
「おーし、セーブしてた分飲むぞー!」
「の、飲むぞー!」
「梶くんは釣られなくていーの!」
堪えきれなくて紀章は若干吹き出してるし、達央に至ってはケーキ云々の前に割と度が高めの酒に手を出すし、梶くんは合わせておけ感あるけど合わせる人がおかしい。
その後、しっかり達央は寝落ちて梶くんが持って帰った。真守くんと紀章が残り、しみじみとした話をして真守くんが泣いたのはまた別の話。
.
超遅刻しました
89人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ