恐怖症8 ページ11
「ありがとうございます、駿先輩」
そう言ってお辞儀すると駿先輩が拳を震わせていることに気がついた。
「馬鹿なの？なんでこんなことしか思いつかないの。」
「はは、馬鹿ですから」
「っ、またいずみん先輩に怒られなよ」
「そのつもりです」
ギャーギャー騒ぐ勇斗を担任が抑え込み、別室へ連れて行かれる。
「Aさん、緑川くん、付いてきてくれる？」
実は昨日、このことが予想されたので忍田さんに頼んで〈私になにかあったら〉保護者を交えて話をしようと決定されていたのだ。
私と駿先輩は一度保健室へ向かい、私の傷の手当をした。
その後校長室へ。
案の定不貞腐れた勇斗と怒り心頭の勇斗の両親。
そして、同じく怒り心頭の忍田さんと城戸さん。
まさか城戸さんまで来ているとは…
「部外者は黙ってなさいよ！あの子の両親だけ呼べばいいでしょう？あの世から！」
「そうだ、そもそも親なし子が学校に通うなどと贅沢な話だ」
そう怒鳴り散らす勇斗の両親。
そもそも、勇斗はこの親の影響で私に意地悪をしていたことを知っていた私はまたか、と思ったがそれを目の当たりにした城戸さん、忍田さん、駿先輩は目が釣り上がっていた。
校長が何を言って窘めようにも聞く耳を持たない勇斗の両親にさじを投げそうな校長と教頭、担任。
「では、この件は警察と教育委員会に任せるということでよろしくお願い致します。」
「その子が学校に来なければいいだけの話でしょう！」
その言葉についに城戸さんがキレた
「黙れ！うちの優秀な隊員に手を出し怪我をさせたこと、一生後悔させてやる」
流石に貫禄のある城戸さんに怒鳴られると縮こまってしまった勇斗一家。
「この件が片付くまでA隊員には自宅学習させようと思います。いいですね？」
忍田さんが校長と教頭に聞くと静かに頷く二人。
そして私は駿先輩とまた本部でと約束し、私は本部へ、駿先輩は教室へ向かった。
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作者名：柊凪 | 作成日時：2022年5月11日 20時
