狂犬若頭のウラオモテ。 (ページ2)

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1話〖おかえりとごはん。〗オモテページ2

‹ハルside›

『よし！こんなもんかな〜』

今の時間は夕方頃。
いつもこの時間になると夕飯の支度をしている。
台所の窓からはだだっ広い庭と池という日本家屋らしい景色が広がり、季節が変われば色合いも変わる。
今は、夏であるため、柳が揺らいでいるのが見える。
『あとは、これを盛り付けて………っと』
当たり前のことになり慣れてしまった食事作り。
最初の頃は、お米の炊き方や食材の切り方がめちゃくちゃで苦労していた。
(……でも、あの人はどんな料理でも喜んで食べてくれてたな……)

あの人にはじめて出した料理はとてもじゃないが「料理」
と呼べるものではなかった。

『あのっ、すみません…私…失敗しちゃって…出前頼んで来ま「いただきます。」……えっ？』

黒焦げになった料理を彼は迷うことなく口に入れた。

『そ、そんな…！！お腹壊しちゃいますよッ！』

「美味い。」

『………………えっ？』

『ハルさんの料理、めっちゃ美味いわ！！』

彼の表情を見ると、嘘ではなく本当に料理を美味しそうに頬張っているのが分かる。
それも嬉しそうに。

「見た目なんてどうでもええねん。俺は、ハルさんが作ってくれたモンやからこそ意味があんねん。ずっとな…食べたかったんやもん……やからさ ────。」

「俺はこの先、どんなに黒焦げのもん出されても絶対に食べるで。ハルさんが作ってくれたモンは絶対に残さへん。」

そうやって金髪の彼は笑って言ってくれたのだ。

そんな風に昔の事を思い出していると、恥ずかしくなり、
顔に熱が集まる。

「(なんか急に思い出して恥ずかしいな…それより、さっきまで煮込んでたやつそろそろ取らなきゃ………)」

そう考えていると、いつの間にか自分の腰に手が回されており、よく知っている重みが着いているのがわかった。

kn「ただいま。ハル…やっと帰って来れたわ……。」

「おかえり！コネさん。」

そうやっていつも貴方の帰りを待つのが私のお仕事。