ある幹部がいた話。 ページ45
私は、我々国へ観光客として侵入した。
「Aはもっと食べれたで」
お腹がはち切れるまでご飯を食べさせられた。
A、と初めて聞く子の名前は、度々幹部たちの口から出ていた。
「なんで手止めとるん？」
食事の後はトイレへ駆け込み、全部吐き出すのが日課だった。
「きゃああ！！！」
大きな落とし穴に落とされた。
頭を強く打って血を流すが、お構いなしに幹部は笑う。
1人はケラケラと腹立たしく笑い、1人はカメラをこちらへ向ける。
悪戯で済むわけない大怪我を負わされたが、誰一人助けてくれなかった。
「う”！！」
剣術の練習の際だって同様。意識を失うまで戦わされる。
適わない武力に圧倒され、惨めな気持ちになった。
「書類の確認をお願いします」
この男だって、感謝の気持ちは述べるものの目は笑っていない。
此方を品定めするかのような視線。心底居心地が悪い。
「トンちゃん、と呼べって…？」
書記長の男は、何かと強要してきた。
子豚をとんちゃんと呼べ、この時間にトンちゃんと遊べ、書類をさぼってもいいから自由に遊びに行け、等。
明らかに誰かと私を重ねていることが分かって気持ちが悪かった。
「傍におってや」
譫言のように言うのだ。この男の後輩から頼まれて寝室まで来てみれば魘される幹部。
ここで殺してしまいたかったが、計画実行にはまだ早い。
朝起きて、勝手に入ってくるなと怒られ殴られる。
”ショッピ”と言う男に言われて来たと言っても信じてもらえない。
あーあ、この暴力にももう慣れてしまったな。
「やっぱ、似合っとる。Aみたい」
「はーあ、Aとほんまは行きたかってんけど」
「Aは、美味しいと笑ってくれましたよ？」
皆して、Aと呟く。
こんな狂った男どもの傍にいたら、
彼女もきっとどこかへ逃げ出したに違いない。
理不尽な暴力と、
その態度に、
口を開いてしまった。
ほぼ無意識だった。
「Aさまは、今どちらに？」
たしか、チーノといった名の幹部の前で言ったと思う。
彼は比較的私にも優しく接してくれて、話を聞いてくれた。
穏やかな性格、悪戯は少し過度ではあるが、他の人と比べたら可愛いものだ。
彼の本性を知るまではそう思っていた。
一気に背筋が凍った。鋭く冷たい視線は、私を映していなかった。気が付けば、彼に背後を向けて走り出していた。
「おまえがその名前を呼ぶなや」
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774号（現在稼働中）(プロフ) - → 所々に散りばめられた意味深な言葉に真実を考察してみたり、登場人物の細やかな心情描写に脳内フロアを沸かせたりと、好き勝手楽しませて頂きました。読んでる最中も読んだ後も、更新を待つ時間さえ楽しくて、素敵な作品だなぁと改めて思いました！ (2023年4月11日 20時) (
レス) @page47 id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
774号（現在稼働中）(プロフ) - 完結、おめでとうございます！ここまで書いてくださり、本当にありがとうございます！大好きな作品で、更新通知が来るたびワクワクしてページを開いていました。→ (2023年4月11日 20時) (レス) @page47 id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私の読解力が浅すぎているので、もし宜しければ解説などを書いて頂けませんか？ (2023年4月5日 10時) (レス) @page42 id: 7e4603a37c (このIDを非表示/違反報告)
しるくはっと - 完結おめでとうございます！！陰ながらずっと応援させていただいておりました！！こんなにも素晴らしい作品をありがとうございました！！！ (2023年4月4日 22時) (レス) @page42 id: 1bafc3cd7d (このIDを非表示/違反報告)
沙桜(プロフ) - 完結おめでとうございます！！🎉正直この作品はすごくタイプで、神作品であることはみなさんわかっていると思います。面白い話ありがとうございます。 (2023年4月4日 21時) (レス) id: 0814c8ebc5 (このIDを非表示/違反報告)
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