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『 望、補習はいいの? 』
「 ん、今日は休みやねん 」
緩やかな朝、昨日と違って凄く寒い
今日は朝から望が来てくれて2人で折り紙
久しぶりに見る彼の横顔は、昨日と変わらなくてなぜか安心する
『 なにそれ 』
「 なにって、風船やん。こうやって空気を入れてー... 」
望が空気を入れるとふわっと膨らむ風船
くしゃくしゃと音が鳴り、ぽんぽんっと望の手で跳ねる
「 これは何色でしょーか 」
『 うーん...』
「 わからん?、」
『 み、水色...?』
「 え?なんでわかるん? あ、まさか見えるようになったっていうサプライズ? 」
『 なわけないでしょ。重岡くんが教えてくれたの 』
「 なんやしげか。」
『 たくさん教えてくれたんだよ。この前は大きい海につれてってくれて、ほんとに綺麗だったの 』
またその顔、なんにも言えない悲しそうな顔してる
最近よく見るようになった
そんな顔しないでよ、私が悪いみたい
沈黙の中、望が口を開いた
「 Aはしげのこと好きなんやろ? 」
あまりにも唐突すぎて '' へ? " と変な声がでる
確かに重岡くんはいい人だけど、そんな気持ちになったことはない
でも、何でも前向きな重岡くんに憧れているだけ
『 好きなんてわからないよ 』
「 でも、しげの話しとるAめっちゃ楽しそうやで 」
『 いや、そんなことっ、』
「 自分では気づいてない恋もあるんやな〜!ほら今やってめっちゃ顔赤いし 」
ほっぺをむにっと摘む彼は私をからかってるようでなかなか離してくれない
でも手は暖かくて、優しい
" ふふ " と笑うと手は離されて望の匂いに包まれる
ぎゅっと強く抱きしめられて、名前を呼ばれるとドキッと胸がなった
小刻みに震えてるのがわかる彼の体は大きいのに小さく感じる
私の名前は小声で言うくせに私の返事に反応してくれない
『 ... 望、なんかあったの?』
「 ... なんもない 」
『 ... 嘘、だって望震えてる 』
「 A ... っ 」
何度目かわからない名前を呼ばれると「 ごめんな、」と彼の声が聞こえた
" ごめんな " ってなんなの
わけわかんないよ、望
何でも話してくれた彼はもういないように見えて
消えそうな望をただ抱きしめることしかできない
さっきまで楽しそうに話してたのが嘘みたいに静かになって時が止まったみたいだった
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みゆう。 - 私、ハッピーエンドが好きなのですが、これを見て、バッドエンドもいいなと思いました(笑)すいません、文字数が、。2つになりましたけど、次の作品も拝見させていただきます!言葉選びがご上手でもう最高の小説家だと思います!主さんの作品も主さんも大好きです! (2020年5月6日 4時) (レス) id: 64cca1ce50 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう。 - 今日、このお話を拝見しました。蝉さんの作品、これで2つ目なのですが、毎回涙腺が崩壊してます(笑)ハッピーエンドじゃつまらないって、紹介メッセージ?みたいなところに書かれていましたよね。 (2020年5月6日 4時) (レス) id: 64cca1ce50 (このIDを非表示/違反報告)
るい - めっちゃいいお話やって、号泣しました!なんかもう、しげーーーーーーってかんじです!笑 (2018年7月16日 15時) (レス) id: fe6c19477c (このIDを非表示/違反報告)
メイリ(プロフ) - なんのんさん» コメントは全て読んでいます!本当にありがとうございます、、こうやって気軽にしてくれると作者として嬉しいです。こんなのが作者と言えるのか分かりませんが、これからもよろしくお願いします(><) (2017年4月4日 1時) (レス) id: 5da9c774ff (このIDを非表示/違反報告)
なんのん(プロフ) - コメント見てくれて本当に嬉しいです!ずっと待ってたんです、返信が欲しいんじゃなくてコメントを見て欲しくてこんなにも楽しく読めて本当にいい話でした!!! (2017年4月4日 0時) (レス) id: 66b491b237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝉 | 作成日時:2016年9月4日 20時