容赦なく ページ18
「校長先生ぇ……」
絞り出すように言う真代瀧に校長先生は容赦なくとどめを刺した。
「それと!軽音部の部室は、来週から合唱部の部室になるから!はい、帰った帰った。」
これには俺たち3人も驚かずにはいられないわけで。
「はああああああ!?え、ちょ、合唱部!?なんで!?え!?」と真代瀧が口の悪い言葉を吹っ掛けたのを始めにぎゃあぎゃあと騒ぎ出す。
「合唱部とか部室使わないじゃーん。」
「てかいつも外でやってるしな」
「そもそも軽音部の部室、合唱部にしては大きいしさ…」
「え、ちょ、頭ん中ごっちゃなってるんだけど!!?待って待って待って、意味わかんない!!」
真代瀧と俺たち3人の理解の差が激しいことは置いといて。
というより真代瀧がこんなに驚くんだなと、そっちの方に驚きが大きいのは内緒。
「え、えー、それってもう取り返しつかないの!?合唱部に言っちゃってんの?」
真代瀧が少し焦り始めたように見えた。
「顧問には言ってあるよ!」
キラリと笑顔を決めて答える。合唱部の顧問って誰だっけと頭の中で探れば、話が通じない・噛み合わないで有名な40代の嫌われ音楽教師じゃないか。思わず目を伏せてしまった。
「最悪じゃねえか!」
隣で思わず突っ込んでしまった尚信もきっと同じことを思ったのだろう。
「……でも校長先生、新入部員集めたんだよ?」
たっくんが不満げに口を尖らせる。そうだよと真代瀧も同調する。
「一応、2倍になったんだよ。廃部理由の"人数不足"は無しになったでしょ?ね?」
俺と尚信は佐々木校長と目が合うと軽く会釈した。1バンド結成できるくらいだったら校長先生も許すでしょ、とここに来る前にたっくんが言っていたのを思い出した。
佐々木校長は、それもそうだったなと身を起こし、考え始め俺は少し期待する。それは皆同じだったようで、佐々木校長の発する言葉を待つ。
校長室が静寂に包まれた。
どくんどくんと心臓の音が聴こえる。
佐々木校長は両手の指を絡ませて、眉間にシワを寄せながら項垂れる。
考えに整理がついたようにパッと顔を上げて、俺たちは目を輝かせ、
「やっぱ駄目だ」
「「「「いやなんで!?」」」」
期待は裏切られた。
「あ…いや。廃部は撤回しても良いんだけど……部室がね…」
「えっ廃部、撤回してくれるの?」
慌てて修正する佐々木校長に真代瀧は嬉しそうに言った。
「その代わり、部室は自分たちで確保してね?」
それはつまり、合唱部顧問と話し合えと…
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まきゅもきゅ@九松(プロフ) - 結咲。さん» こちらこそありがとうございますぅぅぅぅぅ!貴方様の作品もずっと応援しています! (2016年9月25日 19時) (レス) id: dd6ee1b572 (このIDを非表示/違反報告)
結咲。(プロフ) - まきゅもきゅ@九松さん» ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!泣 ぜひぜひ作品見に行かせていただきます! (2016年9月25日 18時) (レス) id: aa201165a1 (このIDを非表示/違反報告)
まきゅもきゅ@九松(プロフ) - 結咲。さん» お邪魔させていただきました!すごく興味深いですね!思わず入り込んでしまうような・・・!宣伝もさせていただきますね!これからも頑張ってくださいね!私の作品もよければ見てって下さいね(笑) (2016年9月25日 17時) (レス) id: dd6ee1b572 (このIDを非表示/違反報告)
結咲。(プロフ) - ねこまんま 21号さん» ありがとうございます!(泣)ウレシすぎて死んでしまいたい!(泣)更新頑張ります! (2016年9月18日 12時) (レス) id: aa201165a1 (このIDを非表示/違反報告)
ねこまんま 21号(プロフ) - 面白いです!! 更新、頑張って下さい!! (2016年9月18日 11時) (レス) id: 0270f76ad4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結咲。 | 作成日時:2016年7月26日 14時