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忘機「兄上、」
曦臣「もう日が暮れてきたね。宿を取ろうか」
「私が探してきましょう。」
藍家双璧とともに任務に向かうことになった。
発端は、ある農村ででた怨霊だった。
怨念を鎮めようにもあそこに怨霊が出ること自体、不可解なものであった。
怨念が残るような出来事もない場所になぜ、？
怨念を覗き見ることができる含光君が呼び出されたわけだ。
女たちが、美青年の三人を熱を持った目で見つめる。
それもそうだ、こんな花街に姑蘇藍家の双璧が来るはずもない。
「すみません、宿が見つからなかったので」
地方に宿がいくつもあるわけではない。高貴な姑蘇藍家の双璧が泊まれる宿などあるわけない。
だからといって妓女がいるようなところでなくても良かったのだが、ちょっとした悪戯心からだ。
入るのでさえためらった二人であるが、丁度雨も振ってきたから逃げ場もなかっただろう。
藍忘機は今すぐにでも帰りたそうだ。ついでにこんなところを用意した私が殺されそうだ。
妓女を中に入れるまでの勇気はなかったので、なかなか上等な一室に三人で雨が止むのを待つ。
「…さすがは姑蘇藍家ですね。初めてですか？」
妓女も連れ込まず、この部屋に男だけでいるなんてここに来た意味がまるでない。
忘機「…」
当たり前だろうと言わんばかりに眉にシワを寄せた
「まぁまぁ、そんなに不満がらないでください。
妓女たちはさぞ喜んでいたでしょうね。
こんなに美しいお二人が来れば、他の客可哀想だ」
わざとらしく、言ってみせた。
猫を被るのも少々疲れたからだ。
忘機「…恥知らず」
ボソリと言われた言葉に笑ってみせた。
「…私は酒と色事に目がありませんから。
聞いたことがあるでしょう、色魔だって。
男よりも、女のほうがいい。」
清く、正しい、あの二人には通じないだろう。
むっと、彼の弟の顔が歪む。
曦臣「家訓がありますから。私達は遊びません。」
きっぱりと、断れた。
どこまでいっても彼らは清く正しい姑蘇藍家の者たちなのだ。
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
