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餓鬼に渡された金平糖を見てため息を付いた。
目立つことをしてしまった…
曦臣「金平糖を貰ったのですか？」
あれを、彼も見ていたのだろう。
喧嘩はしてはいけなかったはずだ、素直に頭を下げた。
「すみません、」
曦臣「子供を守ろうとしたのでしょう。そのお礼に金平糖まで貰った、
頭を上げてください。」
優しそうに微笑む姿は聖君に違いない。
「いりますか？」
曦臣「いりません、甘い物は苦手でしょうか？」
善意でもらったものを人にあげるのはどうかしているか…
「…いいえ、子供の頃はよく食べていました。」
一粒、口に含む。
甘ったるい砂糖の塊に懐かしさを感じる。
曦臣「朱の若様の子供の頃ですか」
「…そのときはまだ朱家にいませんでしたよ。」
あの家にいく、ずっと前の話。
曦臣「なら、どこにいたのですか？」
「___…忘れました。」
目に映る若様の姿はいつになく儚く憂いものだった。
男「A兄様の大会の姿を目に納めたかったな…」
薄暗い灯火の中、二人の男が仲良く話していた。
男「あの大会は朱家への宣戦布告だ」
今まで存在感などなかった朱の若様。
それなのにいきなり、頭角を現し始めた。
男「十ニ年前のあのときに、
大人しく逃げておけばよかったのに…
___抗おうとするから、囚われる。」
男「逃げたら、あの美しい姿が見れなくなる。」
一人は、寝転びながら言う。
男「お前、本当に好きだな…」
もう一人は、それに呆れながら本を読んでいた。
男「A兄様は淫乱だけどあの凛々しいお方が
俺らに屈するところを見たくない？」
一人がニヤリと怪しい笑みを浮かべると、
もう一人は笑い飛ばした。
男「はっ、そりゃあ見物だろうよ。」
男「楽しみだね、A兄様を陥れるの。」
ニコリと二人は見合わせて笑う姿は、仲親しいものであった。
男「…一度入れば、二度と出られない。
この家の奴らは、みんなどうかしてるんだ。」
男「俺も？」
顔を見合わす二人は背格好も、声も、表情でさえ、瓜二つだった。
男「俺も、お前も。」
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
