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曦臣「…今の彼女は正気を失っている。
お前たちに合わせれば、それが更にひどくなってしまうかもしれない。」
魏無羨「だけれど、このままじゃあ解決するのは無難しい。
もう一度、襲われでもしない限り手がかりはつかめない。」
それをわかっているのか曦臣は黙る。
怒りと憎しみを宿した彼女は復讐のためなら鬼にでもその身を委ねるだろう。
「…」
部屋にいた女は酷く美しい容姿であったが、その瞳は仇を見ているようだった。
その目線が曦臣に向けられている。
その様子からやはりあの時の自らに似ていると魏無羨は思った。
「…私が術をかけられるとでも？」
例の怨霊の話には関心があるようで、ようやく口を開いた。
「あいつらにはそんな事ができる才能などない。
あいつらの手はいつも汚いんだ。
貴様たちが手に追える相手じゃないな。」
出せと言わんばかりに、皮肉めいてた。
忘機「でも、実際に起きていることだ。」
魏無羨「他の可能性としては…誰かに死ぬほど恨まれていたかだ。」
「…つまりは私が、怨霊にさせてしまったかと？」
その指摘に彼女は目を細めた。
「…」
曦臣「…」
「私には敵が多い、人は陥れたことはあるが、
だが人を殺したことはない。
朱家のように裏で消しても、死は完全に隠すことはできないからな。」
よく頭がまわり、すべてを復讐に削ぎこんだ。
「それに、その程度で怨霊になるのなら…
私の恨みで朱家の者たちは跡形もなくこの世から消えているのではないのだろうか。」
魏無羨「…それもそうか。」
なら一体、どうしてだろうか。
「それについて調べているのなら、…私も連れて行け。
朱家でこれまで一人で戦ってきたんだ。奴らの手口ならよく知っている。
ここに私を閉じ込めておくのは得策ではないと思うが？」
曦臣「…」
二人の視線がぶつかった。
「自ら仙門を敵に回すことなどしないさ。
奴らを滅ぼせるのであれば、なんでもする。」
曦臣「…わかった、
ただしそのときはいつも私が同伴することにしよう。」
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
