34 ページ35
・
恐ろしいほどの信念を目の辺りにした。
羅漢が言っていたことを、思い出す。
＿復讐こそが、生きがいなのです。
止めの効かないその信念に羅漢は恐ろしさを感じた。
自ら、破滅の道を進む彼女を見るに耐えなくなったのだ。
…だから、私に任せたのだ。
「どいつもこいつも、うっとおしいな。
私をどうする？
人の道を教えるのか？
＿目には目を歯には歯を、
これ以上立派な理屈はあるか？」
心が蝕まれた彼女の手を掴んだ。
それに彼女は睨みを効かせ、振り払ううとした。
それでも離さなかった。
「、何の真似だ？」
細い腕首に、綺麗な手。
そのきれいな背にどれほど重いものを背負っているのかはわからない。
曦臣「…彼は、貴方のことを思って遠ざけたことが
何故わからないのですか？」
「何もわかってないな、
あいつは父の面影に惑わされているだけだ、。
腕を失い、途方に暮れていた羅漢を父が助けた。
こうやって裏切られたのがいい例だ、所詮あいつは父の駒に過ぎない。」
吐き捨てるように言った言葉に、声を上げた。
曦臣「、A様！」
それは言ってはならないと、
その声に彼女は鼻で笑った。挑発的な目が言う。
「なんだ、貴方のような方でも大きな声を上げるのですね。
考えられませんか、自らの部下でさえ信用ならないとは。
いいですね、誰も恨まず疑うことをしない。
善良なあなた方は。」
皮肉だということは言われなくても理解できる。
睨んでいた目が薄れ、怪しい笑みを浮かべた。
「…私、わかってしまったんです。」
腕を掴んでいた手をその綺麗な手がやんわりと触れ、
そっと私の手を包み込んだ。
曦臣「何を…」
妖気な雰囲気に耐えられず、問い返した。
すると楽しいそうに微笑んで、肩に力を入れ押し倒された。
彼女の髪が頬に当たる。
ひんやりとした手が頬を撫でた。
「貴方も、私の顔が好きなんでしょう？
わかるわ、この顔誰にでも気に入られるもの。
その厚い情も、私に惚れたから？」
楽しそうに歪められる目は何も移していない。
「私を止めるのなら、…楽しませてよ。」
その顔が近づいてきた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
