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明高「離れの庭の花を知ってるか?
昔は綺麗な花が客をもてしたらしい。」
窓の外から見える、庭は最低限の手入れしかされていない。
明高「あの庭は大叔母様が綺麗にしていた。
でももうあの庭を手入れする人もいない、
…虚しいことだ。」
薄っすらと目を凝らした明高は、何かを思い返しているようにも見えた。
明高「驚いただろう?
お前の予想通り、俺たちは双子で生まれ弟はずっとこの離れに閉じ込められてきた。」
まさか、直属の血筋を有する者を隠しておくなど思いもしなかった。
明高「大叔母様が、俺たちを気味が悪いと避難したせいだ。
いじめる大叔母様に、餓鬼だった明孔が大叔母様の腕に噛み付いた。
…お怒りになられた大叔母様は、明孔を離れの一番奥に軟禁した。
そして…俺たちは離れ離れになった。」
サラリと、弟の髪を撫でる彼の姿は歪んだ愛からだった。
明高「この家は朽ちていくばかりだけど……
最近は楽しいことが多い。
貴方がいなくなれば…もっとよくなる。
貴方を殺して、Aお兄様も手に入れて…
___この家を滅茶苦茶にする。
あぁ、俺たちにAお兄様が跪付く姿を早く見たい。」
歪んだ笑みが溢れた。
羅漢「…貴方がA様を膝付かせれるとでも?
A様を膝付けさせる前に、
私を膝付かせてから言いなさい!!」
わかった、その足音だけで
あの逞しい、A様が来たのだと。
ドンッ
「朱明高、貴様に決闘を申し込む!!」
鋭い剣は、容易く使用人を倒し朱明高の目の前に置かれた。
その目はどこまでも鋭く欺くことなどできない。
明孔「は、忘れたか?
ここにお前の大切な羅漢がいることを」
短剣が喉に掠められた。
羅漢「っ…」
明孔「明高の前に膝付け、」
「…はっ、お前こそ忘れたか?」
陽気に笑うと、剣が明高の腕に鋭く刺さった。
明高「っ、あぁ!!」
「殺したければ殺せ、
お前らのつまらない人生の憂さ晴らしなど、どうだっていい。」
羅漢を捨てることを選んだのだ。
あまりの人でなしに明孔は怯む他になかった。
「お前の兄さんがどうなってもいいならな。」
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作者名:染子 | 作成日時:2022年1月17日 14時