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懐かしい、声が聞こえた。
あどけなさが残る顔つきの子供と、綺麗な女性と、わびしい一軒家。
『羅漢、』
春雷様の娘を立派な方に育てるため、
剣技、体術、学問、教えれるものを全て教えた。
A様は自らが置かれた状況を物ともせず、すくすくと成長した。
羅漢『また喧嘩をしたのですか?』
『喧嘩じゃない、悪徳商人が借金の取り立てを強引にしていたの。』
正義感が強くて、真っ直ぐした子だった。
羅漢『危ないことはしてはいけませんよ』
『ここの村じゃあ、私が一番強い』
逞しく、元気に笑う。
___あの無邪気な少女を殺してしまったのは、
一体誰なのだろうか。
大きくなったその姿に、虚しさを感じる。
『羅漢、私は____』
どうして、あの小さな子の願いを叶えようとしなかったのか。
その後悔が鉛のように、ずっと足を引っ張る。
一人暗闇を突き進む姿を誰も止められない。
ならば…、
羅漢「…A様を侮辱するものは、
このわたしが許さない。」
死ぬまであの方の隣りにいよう。
___それが私の罪滅しであるのだから…
明孔「忠犬が…、偉そうに」
明高「やめなよ、殺すにはまだ早いんだろ?」
手を出そうとしたのを止める。
その者はゆっくりと、羅漢に近づいた。
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作者名:染子 | 作成日時:2022年1月17日 14時