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広い廊下で、一人の女を見かけた。
この屋敷で誰かに出くわすことは珍しい。
羅漢「梅林様、」
しかも、それがよりによって梅林様であるとは…
嫌悪を顔に出さないように、礼をする。
梅林「あら、羅漢」
彼女は微笑む、その美しさは春雷様とは違う。
春雷様と血が繋がっているといえど、彼女と似ているところなんてありはしない。
彼女の持つ風呂敷の中身と、要件が言われずとも理解できることに吐き気がする。
梅林「Aがもうすぐ帰ってくるのよね?」
羅漢「はい、戻り次第すぐに梅林様にご挨拶に行くと仰っておられました。」
彼女がA様を呼ぶときの目は狂気に満ちている。
_行き過ぎた愛は、憎悪を生む。
梅林「なら、これをAに渡してくれない?
春雷お兄様の家紋の服よ。
きっとこれを着たAは…
__お兄様のように美しいわ。」
その言葉に、憎悪が制御できなかった。
羅漢「いつまで、A様を侮辱するつもりですか?
お恥ずかしくはないのですか?!」
梅林の目の色が変わる、狂気が憤りに。
バンっと、風呂敷を床に落とした。
梅林「…拾いなさい。」
奇妙なほど静かに言われた命令に逆らうことはできなかった。
床に膝を付き、風呂敷に手を伸ばす。
すると、足で踏まれ罵られた。
梅林「…どうして貴方のような分際でそんなことがいえるのかしら?
春雷お兄様の弟子でなければ、殺してたわ。」
__この方は、壊れておられる。
失ってはいない方の片腕を蹴られそうになったがそれをなんとか防ごうとした。
羅漢「やめてください、!!
この腕は春雷様が助けてくれたからあるのです。」
梅林「っ、」
ごっ、
梅林は舌打ちをし、羅漢の頭を踏んだ。
「羅漢が迎えに来る。」
曦臣「…では、私はこれまでですね。」
彼がここまでについてきた意味はまず、ないだろう。
何事も起こらず、行く先まで着いた。
羅漢と待ち合わせをしている場所に着く。
羅漢「A様」
少々懐かしくなってしまった、羅漢の声がした。
その姿を初めて目にした。
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作者名:染子 | 作成日時:2022年1月17日 14時