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「で、なぜ貴方が付いてくる？…」
曦臣「貴方一人では、何が起きるかわからないですから。」
姑蘇から朱家に戻ることになった。
それなのに、その道中まで彼は任務があると付いてきたのだ。
曦臣「貴方が何も言わないのであれば、私が解決すればいい。
そう思いませんか？」
「解決できるのであれば、してくださいよ。」
探られるのは厄介であるが、だが朱家に戻るとき彼が付いてきたと知ればアイツらは慌てるだろう。
この争いに、仙門百家の藍家当主を使うのかと。
そうとなれば、いくら汚い奴らも迂闊に手は出せなくなる。
使えるものはなんだって使う。
少々手荒ではあるが、利用させてもらうことにする
道中の静けさに、奇妙さを感じる。
藍家を巻き込みたくないのか、儀式で罠を仕掛けているのか…
曦臣「眠れないのですか？」
道中の宿で止まる羽目になった。
もちろん、周りからは男同士だと思われているため同室だ。
「貴方がたは、厳しい家訓がありましたよね？
藍家のものが起きていい時間ではないのでは？」
さっさと、寝ろということだ。
曦臣「貴方が起きているからですよ。」
「寝床が一つしかないでしょう？
流石に、貴方を床に寝かせるわけにはいきません」
曦臣「では…貴方が床で？
貴方はそのような人ではないでしょう。」
ああ、そうだ。
私はわざわざ気を使うことなんてない、
建前であるが彼のように悪気もなく言われると余計に腹が立つ。
「私が珍しく気を使っているんだ、大人しく寝てくれないか。
床では寝ない、他人に寝顔を見せることはない。」
きょとんとした彼の表情。
曦臣「私は貴方に何もしませんよ。
長旅でしょう、今ここで疲れを取ることが優先すべきことです。」
優しく、あやすように言ってきた。
「…無理だ、眠れない。」
曦臣「では、私が音を奏でましょう。」
どこからか出した、笛を景気よく吹かせた。
今すぐにでもやめさせたいところではあったが、
その音色は姑蘇藍氏と言われるだけある美しさだ。
＿美しいだけなど、もろくて弱々しい。
だが、彼の奏でる曲に嫌味を言う気にならなかった
そしてゆっくりと、自らの瞳を閉じた。
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
