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「残念ですね、やはり合いませんか。」
残念など微塵粉も思っていない。表面上だ、
頼んだ酒が来た。
二人は飲むつもりもなく、女も入れるわけにはいけなかったので一人寂しく酒を注ぐ。
「家にいた頃は、よく遊んでいました。
それを知る者たちは言います、私を色魔だと。」
やっぱり、綺麗な男が目の前にいても姑蘇藍氏では酔うこともできない。
「…あるとき、言われた言葉があります。
節操のない、私に
___"貴方は寂しすぎるからいけないのだ"と。」
心優しい二人は黙ってその話に耳を傾ける。
「思わず、笑ってしまいそうになりました。
私は人肌が恋しい、可哀想な男に見えるかと。」
父親も母親もなくし、狂ったのだと。
「…皆にとってはここは女の地獄。
汚らわしくて、下品で、男の欲がまみれた場所。」
妓女が女を売り、男は金で欲を満たす。
曦臣「…」
彼が自らのことを話すのは珍しい。
彼は酒をたしなみながら、憂い瞳で外を見た。
「私は…そう、思いません。」
曦臣「どういうことでしょうか、」
「…花は、愛でなくても美しく咲き誇る。
欲にまみれた場所ではあるけど、
ここにいる妓女たちは花のように美しく咲き誇る」
外から見える景色は、夜の街を照らす赤い提灯がよく見えた。
妓女が男と戯れていたり、
新人の娘が緊張しく舞を披露していたり、
金を払わない客を追い払う店主がみえる。
「それが、偽りの姿であっても…
私の目には生き生きと映ります。」
欲まみれでも、女も男も生き生きとしている。
月明かりに照らされ美しい彼は、外の景色を楽しそうに眺めていた。
「私は、こんな地獄のような場所でも
強く美しく、生き生きと咲き誇る花に惹かれる。」
単に綺麗な花など、いらない。
女たちの強さと、美しさに、惹かれる。
曦臣「…確かに、それは美しいですね。」
瞼を閉じて、感嘆した。
忘機「…」
二人は彼が言わんとしたことを、理解した。
強く、美しく、舞う
曦臣「まるで……貴方のようだ。」
「なれるのであれば…そうなりたいものです。」
いつも綺麗に微笑む彼は、初めて生き生きとした笑みをした。
その表情はまるで水を与えられた華のようだった。
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作者名：染子 | 作成日時：2022年1月17日 14時
