heart grow fonder. ページ7
『ねぇ大ちゃん、俺が独り占めしちゃダメ？』
酔った勢いで本音をぽろっと漏らしてしまったあの日からちょうど一年。
俺がずっとずっと大切にしまっていた言葉が感情に流されてしまったこと、正直今では良かったと思ってる。
だって大好きな大ちゃんの誕生日を2人だけで祝える恋人の枠が貰えたんだから。
思わず鼻歌なんか歌っちゃいながら、そんな大切な日を祝うために部屋を飾り付ける。
と言っても簡単なものだけど。
この前テレビでたまたま見たんだけど今の100均ってすごいね、びっくりして思わず次の日に探検しに行ってさ。
そしたらね、可愛い装飾品がいっぱい。
あ、これ大ちゃんの誕生日の時にいいやと思っても爆買いしてきちゃった笑
よし、完璧。
いつもは殺風景な部屋がキラキラ輝いて、俺もウキウキしてくる。
次は〜ご飯の用意！
この日のためにヤマにみっちり教えてもらったんだ。
昼も夜もってなるとメニューに困っていたけどヤマはポンポンとアイデアを出してきたから流石だなって感心するばかり。
手際は悪いけど心を込めて１つずつ準備していく。
「ゆーと？」
寝起きの大ちゃんが後ろからきゅっと抱きついてくる。
「おはよう、よく眠れた？」
「おはよ、うん、ね、これ朝ごはん？」
「残念〜これはお昼の仕込みです。
朝はパン焼こっか」
「うん」
頷いて俺から離れてパンを取ろうとする大ちゃんの手を止める。
「俺がやっとくから、大ちゃんは顔洗ってきな」
ほっぺをムギュっと包むと大ちゃんはそのままチューしてくる。
「ふふっゆーといつにも増してやっさしぃ〜」
「バースデーボーイダイキだからね！
ほら、早く早く」
「はーい」
大ちゃんがパタパタと洗面所に向かう背中を見送るとトースターにパンを入れる。
今日は特別にサラダとスープも。
寒暖差が激しくてやっとあったかくなってきたけどまだまだ温かいものが飲みたくなる。
大ちゃんのすきなクルトンもたっぷり入れて。
トースターのチンって音のタイミングで大ちゃんが帰ってくる。
「うっわぁ豪華！」
「ハハッこれくらいでそんな反応してたら夕飯は目玉飛び出るんじゃない？」
「マジで？俺けっこー期待してるよ？
裕翔普段料理しないからちょっと不安な気もするけど」
「なんだよっ一言余計！」
こうなったら目玉が飛び出るくらいビックリさせてやる！！
「いっただきまーす」
大ちゃんの笑顔とともに素敵な一日が始まった。
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作者名：沙羅 x他1人 | 作成日時：2019年4月15日 21時
