偶然にも ページ15
・
「義勇さんっ!お仕事お疲れ様!」
「…ああ。」
俺は、Aと帰りたいのに。
迎えに来ているのだ、婚約者が。
そして今日は2人でレストランに行くらしい。
俺はAと行きたいのに。
俺はAと一緒にいたいのに。
「義勇さん?どうしたの?」
「…なんでもない。」
憂鬱すぎる。
隣の女は鬼舞辻姫子という。鬼舞辻財閥のお嬢様で、事業でもよく助けてもらっている。だから結婚をするのだ。
俺は望んでないのにな。
「義勇さん元気ない〜。私も元気なくしちゃうよ。」
「…すまん。」
彼女は「まあいいけどね!」なんて言いながら俺の腕を思いっきり掴んでキャッキャッ言ってる。
早くけじめをつけたいが、今彼女に「結婚やめよう」なんて言ったらそれこそ事件だ。だから今日だけ我慢。
「義勇さんさ、今日は朝までいてくれるよね?」
「…!すまん、明日朝早いから無理だ。」
「えぇ!なんで?折角良いの着てきたのに…。パパに言っちゃうよ?」
突然彼女が上目遣いで話してきたと思えば気持ちの悪い話。
我慢だ、我慢。
今日だけ、今日だけだから。
「俺には好きな人がいる。」
……なんて、できるわけなかった。
俺はAに夢中なんだ。
A以外とそんなのしたくない。
「はぁ?何言ってんの?」
彼女はすごく怒ったように俺を睨んだ。そして俺の頬を叩いて「さよなら、パパに言うから。」と言い、去っていった。
・
「えええええ!?!?じゃ、じゃあ義勇さんの婚約者のお父様って……鬼舞辻さんなんですか!?」
「そうだ。じゃあお前の恋を応援してやろう。お前がその義勇とやらと結婚しろ。」
「…!したいです、したいですけど〜…。」
「何をゴニョゴニョしてるのだ、気持ち悪い。お前がソイツと結婚するのが最善策だろう。」
鬼舞辻さんは早くしろとでも言いたげな感じでこちらを見てくる。
うぅ!だってそんなこと言えたら誰も苦労はしないよ!
なんてしばらく電話かけるのを渋っていたら、プルルルルと音が鳴った。
「もしもし、なんだ姫子。」
鳴ったのは、私の携帯じゃなくて鬼舞辻さんの携帯だった。
「なに?義勇さんにふられただと?わかった、今すぐ向かう。」
「…!」
鬼舞辻さんは、呆れたように電話を切って私の方を向いた。
「するなら今だぞ、アホヅラ女。」
なんかムカつくなぁ、と思いつつも
「…ありがとうございます。」
と返した。
・
324人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にぃ - とても面白いしキュンキュンしました。これからも面白い作品作ってください。 (2020年8月23日 21時) (レス) id: e653c86382 (このIDを非表示/違反報告)
陽渚(プロフ) - 面白かったです!他の作品も読ませてもらってます!頑張ってください (2020年8月4日 22時) (レス) id: 0a67e21c60 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - Regulusさん» ありがとうございます!!そう言っていただけると心からかいてよかったなぁと思います!次回作も是非見てみてください!これからもよろしくお願いします! (2020年4月4日 22時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
Regulus(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´▽`*)とても楽しませて頂きました!次回作も楽しみに待っていますo(*⌒―⌒*)o (2020年4月4日 14時) (レス) id: 9c91fd3a1d (このIDを非表示/違反報告)
ぬん(プロフ) - 月花さん» ありがとうございます!そう言っていただけると書いてよかったなぁと思います!本当にありがとうございました!! (2020年4月2日 23時) (レス) id: 2ea5b93c28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぬん | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2020年3月27日 22時