〈 これもきっと3月のせい�� 〉 ページ23
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「ままままま待ってよ！！えっインスタに写真上げたの！？」
思わず水面を叩きつけて叫ぶと、村上くんは慌てて首を振った。
「いや、いやいや！！大丈夫っす！ストーリーなんで！しかも親しい友達！」
「あっ、ならまあ……。ちなみにそれ誰が見れるの？」
「えーっと、由伸さん……」
「ダメじゃん！！」
「あと翔平さん」
「もっとダメだよ！！！」
「君らコントしてんの？」
今永さんに怪訝そうな視線を向けられたものの、正直今はそんな場合じゃない。あまりにもまずい。冷や汗も止まらない。プールの中なのに。
「消して！！今すぐ！！」
「や、えーっと……」
「何！？消し方わかんない！？私もインスタやってないからわかんない！！」
「いやそれは知らねえっすけど。あー、なんつーか……」
携帯を片手に、村上くんは言葉を詰まらせる。
その姿にほんのり嫌な予感が漂い始めたと同時、案の定と言うべきか、村上くんが視線を泳がせながら言った。
「もう見てるっぽいっす。2人とも」
「……」
「何なら翔平さんいいね付けてきてます」
「……」
「……俺こんなに怖いいいね初めてかもしんない」
……こ、この世に救いというものはないのでしょうか……。
「あっ待ってくださいAさん！！水面に沈まないで！！」
「……私このまま村上くんに取り憑く怨霊になろうかな」
「冗談にならないっす、それ」
あまりの絶望にもう何を恨めばいいのかさえわからなかった。何だ、山田さんか。山田さんなのか。何かもうあの人が悪い気がしてきたなあの人のせいじゃないの？
「うちのキャプテンに罪なすりつけんのやめてください」
「……どうしよう村上くん」
「えっ、あ〜……まあ、とりあえず今日はあの2人と顔合わせるのやめといた方がいいんじゃないっすか？」
聞かれても困る、と言いたげな顔ではあるものの、ちょっとだけ責任は感じているらしい。
村上くんの提案に頷き、私は浮き輪の上で項垂れた。……顔を合わせないって、今日全体練習あるんだけどなあ。
「あれ、もう帰るんすか？」
「うん。……練習まで部屋に引き篭もっとく」
「ああ……、それが良さそうっすね」
そう哀れみの目で私を見送る村上くんに背を向け、ぼてぼてとプールサイドを進む。
更衣室はプールを出た側だ。さっさと着替えるべく、私は扉を開け。
「……あ、ほら、出てきた。悪い子が」
……そう聞こえた声に、早速Uターンをしかけた。
【番外編】2023年、9月9日→←〈 これもきっと3月のせい�� 〉
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作者名：あちちっ！ | 作成日時：2023年8月11日 14時
