それぞれの愛し方で【F.Tatsuya】 (ページ10)

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なんでもない日/抱きしめてキスして守ってページ10

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いつも通り定時に会社を出れば、鞄の中のスマホが震えた

辰哉くん仕事終わった?そのまま家帰る?

まだ仕事が終わってないであろう辰哉くんからの連絡だった

このまま家に帰るのではなく

スーパーに寄ってから帰ろうとしていたからその意図を伝えると

分かった‼って

返信を見て、特に気にとめずスーパーへ足を向けた

「今日俺グラタン食べたい」

カゴを持ち店内を物色していたところに後ろから声をかけられた

振り向けば今朝ぶりの辰哉くんの顔が

『辰哉くん？』

「ん、スーパー行くって言われたから居るかなぁと思って…」

態々仕事が終わり疲れているのにも関わらず、スーパーへ顔を出したのだ

変に優しいところに少しだけ胸が高鳴る

「…まだ何するか決まってないんでしょ？じゃあグラタン作ってよ笑」

『いいよ笑』

「やった～、そうと決まれば材料買わなきゃね」

カゴを持っていない方の手はいつの間にか彼が握っていて

半ば引っ張られるように連れていかれた

「ありがとうございました」

店員さんにそう言われ、袋へ材料を詰めていると

詰め終わったと同時にその袋を辰哉くんに掴まれて何事もなくスーパーを出た

「いやぁ、久しぶりだねこうやって帰るの笑」

『最近辰哉くん忙しそうだし…』

「まぁね笑新入社員の子入ってきて手一杯よ」

うっすら笑いを浮かべた辰哉くんは疲れてそう

ちょっとだけ心配になってくる

「ただいまぁー」

『おかえり、辰哉くん』

「んは、ん、ただいま」

いつもならただいまと言ったあと軽く抱き寄せてくれるんだけど

今日はするりと横を通り抜けて寝室へ着替えを取りに向かった

相当疲れが溜まっているのか、それともストレスなのか

わかんないけどそのままにしておきたくなくて後を追って寝室へ入った

『…っ辰哉くん…！』

「…ん？どしたー」

ジャケットを脱いでハンガーに掛けながら微笑んだ辰哉くん

無言で近づいてみればなによ笑って笑われた

『…今日は、私が抱きしめてあげる日』

「え？」

ワイシャツ姿の彼にぎゅっと抱きついた

すると驚いた表情を見せた後抱き締め返してくれるように

いつもの腕でふんわりと包み込んでくれる

「どしたの？笑」

『疲れてそうだから』

「あ～バレてる？笑」

『ばればれだよ…』

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