風邪の妙薬はプリンである 3 ページ8
「えと…見舞い品なん…ですか？」
「あ、違くて……連絡…取れなくて_____。」
「連絡取れない！？」
ばっさぁっ
店員さんの手からスーパーの袋がずり落ちた。
思わずびくっ、と体を仰け反らせれば、店員さんは慌てたように辺りを見回す。
「え、ちょ、警察や！！」
「え、あ、多分風邪や…と…。」
「えぇ…！？え、ちょ、はぁ！？」
「どこ住みなん！？その人！！」
「いや、個人情報なんですけど！？」
慌てて全力で拒否ると、店員さんはあー…と唸ってくしゃり、と髪の毛を掻きむしった。
ポケットに入ったスマホを取り出し、わたわた、と説明を始める。
「あの、ぐるぐる荘、ってとこの大家が俺の知り合いで！！…多分言えば、周りの家の鍵とか…ある…かもしれんのやけど…。」
「ぐ、るぐる荘！！そこ！そこの人なんや！」
「えｯ、は！？まじ、や、ほんとですか！？」
2人で慌てながら、店員さんのスマホを覗き込んだ。
わたわた、と無造作に絆創膏が巻かれた指が、画面を滑って、電話をタップする。
ぷるるるるっ、ぷるっ_______かしゃん
「はい、こちら愚累のけいたいですが…。」
「は、はい！こちら、ゾムなんやけど！」
「…？何や、お前か。…めっちゃ声上擦っとるで。大丈夫か？」
「めちゃくちゃ大丈夫っすわ！」
「おん、お前はホンマにどした？」
慌てた口調で、ごにょごにょとシャオちゃんの事を食いつまんで話すと、ぐ、るい？さんは、カラカラ笑って教えてくれた。
「あぁ、それなら大家室に入るとええ。…101号室で、南京の番号は0401やから。」
「…お前、教えて大丈夫なん？」
「おん。俺がセンサー外さんと、まず入れへんようになっとるからな。」
と、まぁヤバそうな機械の名前が出てきそうになった頃、店員さんはぶちっ、と携帯を切った。
そして、突っ立ったままの私の手を引いて、走りだす。
「とにかく早よ行こ、きましょ！」
「は、い！」
夜の蒸し暑さがスーツに染み込んで、汗として肌から流れ落ちていく。
時折、口から漏れ出す息は、無意識のうちに足を早めていた。
…嗚呼、もう少しだけ運動しなきゃあかんな。
見舞いの袋が重いわ。
がっさ、がっさ、なんて大きな音をたてる袋の中から覗いたスポーツドリンクは、爽やかで、夏を思い出させるのに。
その横に覗く冷えピタが、熱中症で倒れたシャオちゃんを思い出させるから、嫌なのだ。
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ネリー(プロフ) - 匿名さん» ふふ、ご来店ありがとうございました！ この作品でお腹いっぱいにして頂ければ何よりです笑 飯テロ頑張って良かった…！！こちらこそ素敵なコメントありがとうございます…！！ (2021年5月31日 18時) (
レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - ご馳走様でした…！！！ほんとに描写が凄くて、読みながら想像してお腹空きました…！！！文字で飯テロされたの初めてです；；素敵な作品ありがとうございました！ (2021年5月29日 5時) (レス) id: 6c6ea452a5 (このIDを非表示/違反報告)
ネリー(プロフ) - イさん» 私が参考にしたサイトでは五段階評価でした…！！10段階の評価もあるんですね…！！？？ 是非、口コミ評価も押してあげてください…！笑 親父さんが喜びます (2021年2月26日 17時) (レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
イ - 口コミ４，２ってええの？１０やと思ってた…… (2021年2月26日 16時) (レス) id: 6136328a84 (このIDを非表示/違反報告)
ネリー(プロフ) - みんとさん» ふふ、ご来店ありがとうございました！ 常連たちにご飯を美味しく食べさせるのにはなかなか苦戦したので、そう言って頂いて光栄です！また、提灯を光らせてお待ちしておりますね (2021年1月11日 17時) (レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネリー | 作成日時：2020年6月18日 1時
