嫌われ者に愛の甘味 9 ページ46
「はよ食べてぇや！」
「はいはい、ちょっと待ってなぁ。」
ゾムさんから包丁を受け取り、タルトを切ってみる。
軽く皿と金属が触れ合う音がして、カスタードの詰まったタルトが此方を向いて微笑んだ。
思わずこくん、と息を飲み込む。
カスタードなんて彼らが成功したことがあっただろうか。
物凄い進歩である。
「めっちゃええ出来やん。」
「んふ、ショッピ君とゾムが手伝ってくれてん！2人とも料理上手くてなぁ！」
「…現役高校生に負けたんやで、こいつ。」
「…お疲れ様、ロボロ。」
げんなりした顔のロボロに苦笑し、1ピースを取り皿の上に乗せる。
期待で満ち溢れた視線が飛び交う中、フォークに1口突き刺して口の中に入れた。
はじめに口へ広がるのは、柑橘系とベリー系統の酸味。
それに追い打ちをかけるように濃厚なカスタードクリームが甘く解けていく。
さくさくしたタルト生地も食感を楽しみながら食べれるように、との配慮なのかナッツ系のものがはいっているようだ。
おいしい、その言葉だけが頭の中を回っていた。
「…ど、どうや…？」
「不味かったら残してええから…な？」
「…や、普通に美味いで？アンタら凄いなぁ！？店と間違うたわ。」
ショッピくんが嬉しそうに笑い、シャオロンとロボロが脱力したように机に突っ伏す。
それをゾムさんとカラカラ笑って眺めた。
不味くても1ピースは食べてやろう、と思っていたが、これなら何ピースでもいけそうだ。
もう一口、と頬張れば、思わず頬が緩んだ。
それを見てか、シャオちゃんとロボロ、それからショッピくんにゾムさんまでが安心したように微笑む。
聞けば、ぶっつけ本番で作った為、あまり自信が無かったのだとか。
運持っとるなぁ、なんて笑って皆でタルトを頬張った。
「ん、うま！」
「ほら、やっぱ俺天才やねん。俺の母ちゃんも言ってたわ、俺はやる男だって。」
「お前調子乗んな？昨日炊飯器壊したやろ。」
「現役高校生に負けるおっさん…ないっすわぁ…。」
「おいこら、煽りキャラとってくな！」
現役高校生に大人気もなく威嚇するシャオちゃんに、親父さんまで笑ってしまっていた。
笑わんといて！？と眉を下げた彼にまた笑ってしまう。
そんな笑いも途切れた頃、虫の音が聞こえた。
くりーぱーを見つけてから、もう季節が巡ろうとしている事実になんだか感慨深さを感じる。
そんな、誕生日の夜は笑い声と共に更けていった。
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ネリー(プロフ) - 匿名さん» ふふ、ご来店ありがとうございました！ この作品でお腹いっぱいにして頂ければ何よりです笑 飯テロ頑張って良かった…！！こちらこそ素敵なコメントありがとうございます…！！ (2021年5月31日 18時) (
レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - ご馳走様でした…！！！ほんとに描写が凄くて、読みながら想像してお腹空きました…！！！文字で飯テロされたの初めてです；；素敵な作品ありがとうございました！ (2021年5月29日 5時) (レス) id: 6c6ea452a5 (このIDを非表示/違反報告)
ネリー(プロフ) - イさん» 私が参考にしたサイトでは五段階評価でした…！！10段階の評価もあるんですね…！！？？ 是非、口コミ評価も押してあげてください…！笑 親父さんが喜びます (2021年2月26日 17時) (レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
イ - 口コミ４，２ってええの？１０やと思ってた…… (2021年2月26日 16時) (レス) id: 6136328a84 (このIDを非表示/違反報告)
ネリー(プロフ) - みんとさん» ふふ、ご来店ありがとうございました！ 常連たちにご飯を美味しく食べさせるのにはなかなか苦戦したので、そう言って頂いて光栄です！また、提灯を光らせてお待ちしておりますね (2021年1月11日 17時) (レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネリー | 作成日時：2020年6月18日 1時
