嫌われ者に愛の甘味 3 ページ40
からんころん
涼やかな音を響かせ、蒸し暑い夏の夜に飛び出す。
ずっしり、と重い鞄に肩を鳴らしながら、まだまだ眠らぬオフィス街の中を足早に歩き出した。
疲れた顔のサラリーマンと何人もすれ違いながら、明るい光を放つ駅へと向かう。
と、その駅の正面口で、見知った顔とすれ違った。
「あれ、ゾムさんやないですか。」
「え、あ、Aさん、やないですか。」
驚いたように振り返り、何故か滝のように汗を流すゾムさん。
もう夏も終わりやって言うのに、そんな暑いのだろうか。
熱中症か…？と彼の顔を覗き込めば、もっと汗が流れてきた。なんでやねん。
「こんな所で何してますん？…てか、親父さん大丈夫なん？」
「あ、え、はは。大丈夫やで、うん、はは。」
「ん、ほんまに大丈夫やんな？」
何やらおかしな事を口走りながら汗を流すゾムさんは不審者そのものである。
こちらも若干引きながら、おぉ…と頷き、ふと、電子掲示板を見上げた。
この正面口だと、私とロボロの家に行く方面の電車の降り口しかない……あれ。
「ゾムさん、こっち側になんか用事あったん？」
「んぇ。」
「行く方面ひとつしか無いやん？なんか、あったんかなぁ、って思てな。」
「あー、うん、あのぉ、友人の家、がなぁ？おん、はは。」
「んー？そーなんですか。…なんか、詮索してごめんなぁ…。」
「いや、ははっ！！」
そろそろヤバそうなゾムさんを見送り、此方もはは…と苦笑い。疲れてんのかな、ゾムさん。
そのまま電車に乗り込んだ。
家に着き、かちゃり、と鍵を捻る。
ふと、足元に目線を落とせば、ショッピくんはまだ帰ってないみたいだ。
「あらら。思春期やねぇ…。」
そんな言葉をひとつ吐き出し、リビングの電気を付けて、ソファーへぽすん、と座り込む。
何だか一人きりの家は寂しくなって、思わずテレビのリモコンを押してみた。
がやがや、とお見合い番組が流れ始める。
「お見合い、か…。」
女の幸せは結婚、なんて世では言われてるらしいが。
私も幸せになれるだろうか。
んー…と隣にあった豚のとんとんクッションを抱きしめながら、テレビの画面を見つめる。
『え、好きなタイプは〜…ちょっと料理が下手な人とか、可愛いかな、って…。』
『私は、運動してたりとか、ジム行ってたりするひとかな…。かっこいいし…。』
そして、この2人にはシャオちゃんとロボロを全力でお勧めしたい。
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ネリー(プロフ) - 匿名さん» ふふ、ご来店ありがとうございました！ この作品でお腹いっぱいにして頂ければ何よりです笑 飯テロ頑張って良かった…！！こちらこそ素敵なコメントありがとうございます…！！ (2021年5月31日 18時) (
レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - ご馳走様でした…！！！ほんとに描写が凄くて、読みながら想像してお腹空きました…！！！文字で飯テロされたの初めてです；；素敵な作品ありがとうございました！ (2021年5月29日 5時) (レス) id: 6c6ea452a5 (このIDを非表示/違反報告)
ネリー(プロフ) - イさん» 私が参考にしたサイトでは五段階評価でした…！！10段階の評価もあるんですね…！！？？ 是非、口コミ評価も押してあげてください…！笑 親父さんが喜びます (2021年2月26日 17時) (レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
イ - 口コミ４，２ってええの？１０やと思ってた…… (2021年2月26日 16時) (レス) id: 6136328a84 (このIDを非表示/違反報告)
ネリー(プロフ) - みんとさん» ふふ、ご来店ありがとうございました！ 常連たちにご飯を美味しく食べさせるのにはなかなか苦戦したので、そう言って頂いて光栄です！また、提灯を光らせてお待ちしておりますね (2021年1月11日 17時) (レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネリー | 作成日時：2020年6月18日 1時
