鮭は涙の味がする 5 ページ17
私の家は、会社から2駅離れた、小さなマンションだ。
一人暮らしには結構大きめで、まぁまぁ家賃も張るが、こつこつ貯めてきた貯金で、案外払えるし、住み心地も良い。
まぁ、大きめにしたのは、
「そういや、ロボロって童貞な癖して、Aの部屋には上がれるねんな？」
「んー？せやね、なんか…此奴、双子？みたいやし。」
「ん、何それ？…こんなチビと誰が双子や。阿呆抜かしてんちゃうぞ。」
「お前大概にせぇや？」
青筋を立てるロボロを無視して、鍵を開けて、ドアノブを引っ張り、中に入る_________
「ふぁｯ！？」
「こ、んばんは…。」
困ったように此方を見上げ______いや、目を見開いて此方を見上げたあの、学生さん。
いやいや、なんで？
「え、ちょ、誰やお前！！」
「A、警察呼ぼか…？」
「あ、の…事情！！言われてない…んすか…。」
「ん、事情？」
学生さんの言葉に首を傾げると、彼は困ったように、頭を掻いた。
「…俺は、A…さんの遠い親戚なんです。…先日、両親に捨てられまして_____。」
「す、てられた…って…。」
「義母と義父なんすけど。…父さんがこの前、交通事故で亡くなったんで、義母はさっさと男見つけて、俺を捨てました。」
「…で、私のところに…？」
「はい。…父さんから、なんかあったらAさんとこ行け、って。」
何故、私が指名されたのかは分からないが、とにかく彼は今、天涯孤独という訳か。
こんな暑い夜やし、放り出すわけにもいかない。
…仕方ない。
「ん、分かった。…とにかく、家入ってや。…暑いやろ、ブレザーの上着脱いでええでな。」
「…ありがとう、ございます。」
律儀にもぺこり、と頭を下げて、ブレザーを脱ぐ____学生さん。
ロボロたちに目配せして、私も靴を脱いだ。
「夕飯とか、なんか食べよか。…嫌いなモンある？」
「や、無いっす。」
「好きなモンは？」
「……好きなのは_____さ、鮭が好き…です。」
少し照れたように俯く学生さんに、なんだか気が抜けて、カラリと笑う。
そうかそうか、鮭が好きなのか。
…お昼に食べたが、しゃーない。作ったるか。
「昨日なぁ、丁度お値下げ品で鮭出てたんよ。買って良かったわぁ。」
笑ってロボロを振り返れば、呆れたように苦笑が返された。
ゾムさんみたいにはいかんけど、作りましょ、鮭。
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ネリー(プロフ) - 匿名さん» ふふ、ご来店ありがとうございました！ この作品でお腹いっぱいにして頂ければ何よりです笑 飯テロ頑張って良かった…！！こちらこそ素敵なコメントありがとうございます…！！ (2021年5月31日 18時) (
レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - ご馳走様でした…！！！ほんとに描写が凄くて、読みながら想像してお腹空きました…！！！文字で飯テロされたの初めてです；；素敵な作品ありがとうございました！ (2021年5月29日 5時) (レス) id: 6c6ea452a5 (このIDを非表示/違反報告)
ネリー(プロフ) - イさん» 私が参考にしたサイトでは五段階評価でした…！！10段階の評価もあるんですね…！！？？ 是非、口コミ評価も押してあげてください…！笑 親父さんが喜びます (2021年2月26日 17時) (レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
イ - 口コミ４，２ってええの？１０やと思ってた…… (2021年2月26日 16時) (レス) id: 6136328a84 (このIDを非表示/違反報告)
ネリー(プロフ) - みんとさん» ふふ、ご来店ありがとうございました！ 常連たちにご飯を美味しく食べさせるのにはなかなか苦戦したので、そう言って頂いて光栄です！また、提灯を光らせてお待ちしておりますね (2021年1月11日 17時) (レス) id: 2de12fe1d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネリー | 作成日時：2020年6月18日 1時
