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見慣れていたはずの風景が車窓から流れ始めてくる。





「阿部ちゃんとAっちが秘密交換したところなら
少し安心して読めるかなーって」





高校の時とはまた違った大人になった優しさを感じた。


今ならもう何が書いてあっても

ある程度受け止める心の準備はできているつもりだ。





『そう言えばずっと気になってたんだけど、
深澤さんと宮舘さんの下の名前ってなに?』

「あれ、知らないっけ!ふっかは辰哉で、
舘様は涼太だよ〜ふたりともかっこいいよねえ」





知り合ってはや3年ほど経つのに初めて知った。

そもそも亡くなってから友人の名前を知るくらいだから。





「ちなみに俺はね〜」

『大介でしょ、卒業式に聞いたよ』

「あ、そっか」

『ふふ、天然なの?』





独り言のように


阿部ちゃんの亮平って名前もお洒落でいいよね。
お母さんが付けてくれたんだって。


と、まるで惚気るような懐かしがるような。

そんな口調で言っていたのを私は聞き逃さなかった。





彼女も作らず大好きな親友の為に精一杯生きる佐久間くんが、

何より頼もしくて、私の支えでもある。





桜の木の元へ到着すると手紙を渡された。

俺は待ってるねと佐久間くんに送り出される。




あのとき座ったのと同じベンチに座る。

風景はほとんど代わり映えしてなくて安心感を感じた。




少し冷たい風が頬を撫でる。

早く手紙を読んでくれと催促されているみたいに。


慎重に封を切って便箋を取り出す。



綺麗に折り畳まれた2枚の便箋を広げると、

"Aちゃんへ"

と書き出されていた。

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chirua(プロフ) - ゆりあさん» お読みいただきありがとうございました。エンドの捉え方は読み手様に委ねる作品にしたかったので、そう感想を頂けて大変嬉しく思います。是非思い出した時にでもまたお読みいただければ幸いです、ありがとうございます︎☺︎ (3月12日 16時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - chirua様、久々に涙を流させて頂きました。どちらも望む未来を手に入れた、ハッピーエンドと言えばそうなのですが、どこか心に残り続けるしこりのような物がある、定期的に読み返したくなるお話だと感じました。生死の価値観は人それぞれ。心が洗われました。 (3月12日 11時) (レス) @page48 id: c528d0e93e (このIDを非表示/違反報告)
chirua(プロフ) - にふらー__病み期突入さん» お読み頂きありがとうございました!にふらー様の息抜きになれましたら幸いです、こちらこそありがとうございます︎☺︎ (8月10日 12時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
chirua(プロフ) - 椎名さん» お読み頂いてありがとうございました!通知が埋もれてしまいすぐお返事出来ず申し訳ないです…。そう言っていただけるととても嬉しく思いますありがとうございます;; (8月10日 11時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
にふらー__病み期突入(プロフ) - いろいろメンタルやられてて、息抜き程度にみていたらものすごく感動できる作品で、涙が止まりませんでした(笑)素敵な作品ありがとうございました。 (8月9日 23時) (レス) @page48 id: 0af72557f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chirua | 作成日時:2022年10月2日 22時

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