生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ9)

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約束ページ9

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次の日

朝起きると泣き腫らした目は二重の線を消す程にむくんでいて、

気分的に学校へ足は向かなかった。

が、再び桜の木へ向かうべくある程度の身なりは整える。

昨日とは違うお気に入りのスニーカーを履いて、母親に断って家を出た。

時計の針は11時を指していて、

少しだけ強くなった日差しが眩しい。

目を細めながら昨日と同じ場所で脚を止めたが、少し変わっていた。

阿部くんがいた。

今日は細長い紙パックのジュースを2つ持って。

『なんでいるの？』

「いつも開口一番なんでだよね。交換条件破られない為に」

『来なかったらどうしたの』

「来ないわけ無いと思って待ってた」

『じゃあズル休みか』

「今日だけはズル」

変なヤツ、と思ったが口に出すのはやめた。

近くにあるベンチの埃を少し払って、端と端に座った。

友達には話せなかったと素直に伝えた。

『でも話すね。約束したし』

友達話してから聞くって行ったのに〜まあいっか。とぶつぶつ独り言を言っていた。

心臓はバクバクと視界さえも揺るがすような強さで脈打つ。

自分の口から誰かに話すのは体力がいるものだと、

今なんとなく気がついた。

紙パックのジュースをありがたく頂いて、口に含んで潤した。