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姉が父と母に連絡をして、
仕事に行く準備をしていた二人を病院へと呼んだ。
と言っても、事情を聞かされない私はいつも通りな訳で、
暇をつぶす為にさっき読み損ねた小説を開いた。
この小説の主人公は小説だけが生き甲斐で、
一週間で最低でも5冊も読んでしまうほどの"小説マニア"なレン。
ある日自分自身が小説の世界に飛び込んでしまう。
読んだことのある物語の展開に、
今まで読んだ小説の記憶を必死に手繰り寄せ、
思い出した結末はヒロインが死んでしまう運命。
そしてその小説は、
ヒロインを好きだった男の子が最後に
意味深な言葉を残して終わるのだ。
レンはそれを男の子が新たな道に進めた
ハッピーエンドと解釈していた為、
遠くから見守りながら小説の世界をのんきに楽しむ。
しかしその世界で小説に書かれていない
男の子の本音やバットエンドの真実を知ってしまい、
ハッピーエンドにするべくその世界で奮闘する話。
誰も知らない真実を知る事、
又それを変えるのは良い事なのか悪い事なのか。
そのレンの奮闘ぶりを何度も読み返している。
レンは最後自分の世界に戻って来た時に、
"幸せの価値は自分が決めるもの"
だと気が付く。
1度目と2度目ではまるで読んだ感じ方が違う。
……これ阿部くんと佐久間くんにも読んでもらいたいな。
深読みしそうな阿部くんも、
奇想天外な感想を言ってくれそうな佐久間くんにも
きっと楽しんでもらえそう。今度おすすめしよう。
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作者名:chirua | 作成日時:2022年8月7日 17時