生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ44)

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今日、いつも通り人が来た。

今日はお姉かな？と予想する。

「や！」

『んふふ』

「お？どうした？ちょっとご機嫌？」

『今日はお姉が来るかなって予想してたら
お姉だったから。当たったーって思って』

「くっそー当てられたかあ！」

元気に振る舞う姉の目元を見て思う。

いつもはっきりとした並行二重に

大きな黒目とキレイに上がったまつげ。

それが少しだけ潤んで雰囲気が違う事。

綺麗で、自慢の姉を泣かせているのは私なのだと思うと、

申し訳なくなっていたたまれなくなる。

勿論心配させるから言わないけど。

姉は私がテストで学年ベスト5に入った時ですら

泣いて喜んでくれた。

もちろんその順位もその時だけで、

今では中間を彷徨っているのだけれど。

でもそれだけ涙脆くて優しい姉だから、

私がいなくなったらどうなってしまうのかと不安になる。

本当に私って人に迷惑しかかけてないな。

「そういえば、今日はなんだか病院騒がしいから
ちゃんと病室いなね？…まあお姉今日泊まるけどさ」

『え！泊まってくれるの！』

「泊まるよ〜？恋話でもしちゃう！？」

個室に入っているから

予備のベットさえ持ってきて貰えれば、

誰か一人は泊まれる。

珍しく姉はその役を買って出てくれた。

けど……病院騒がしいってなんだろう。

看護師さんたち忙しいから

迷惑かけないように寝てろってことかな、？

本当にその日は点滴の交換と夜ご飯、

お姉のベットを持ってきてもらった以外看護師さんは来なかった。

いつもなら調子を聞きに午前と午後来るはずなのに。

ここの病棟の看護師さんたちは

ベテラン揃いだと言われているらしいから、

きっと何かあると一番に頼られるんだろうな。