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「"Aちゃん"」
『はい、!』
改めて名前を呼ばれて背筋を伸ばした。
「"これからの天気は曇のち快晴。夜きっと、星がキレイだよ"」
『突然お天気予報?…というか今日はこの後豪雨だよ?』
今日朝ご飯を食べながら見た情報番組で、お天気のお姉さんは
曇りのち雨。豪雨になる為帰宅時はお気を付けください!
と可愛い傘を持ちながら言っていた。
今の空だっていつ雨が降ってもおかしくないのに。
「"ううん、今日じゃないよ。今日はきっと
土砂降りだと思う。でも今度の雨予報の日はきっと外れる"」
『そ…っか…?』
天気予報なのに今日じゃないの、?
「"あ、信じてないな?"」
『だって突然言われたらびっくりするよ』
「"ふふ、佐久間と同じこと言ってる"」
佐久間くんにも同じ事を話したのだろうか?
阿部くんが佐久間くんの名前を呼ぶ時はいつも顔が綻んでいる。
あいつ、とか、お前って呼ぶときは
少し煩いと思っている事が多いけど。
つまり今はきっとにこやかなのだろうと
勝手にこっちも微笑ましくなって思わず笑った。
『いひひ…。心配してくれてありがとう、
また3人で深澤さんの所、行こ』
「"……そうだね、行こうね。……じゃ、ばいばい"」
『うん、じゃあね』
いつもは言わないばいばいと言う言葉と
少し間に違和感を抱きつつも、
阿部くんのお陰で少し気持ちが軽くなった自分もいた。
でも、その日、
その通話を最後に、
阿部くんとは再び音信不通になった。
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作者名:chirua | 作成日時:2022年8月7日 17時