生きたい彼女と死にたい彼。 (ページ35)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:53,679 hit

幸？ページ35

-

「Aっちから招集されるの初めてだね」

「しかもここって、相当気に入った？」

病院から帰宅した3日後

ふたりをコーヒーショップの中へと連れ込んだ。

一番の理由は

パスタ食べたかったって悔いたくなかったから。

私服はお洒落だけどやっぱり長袖な阿部くんと、

アニメのTシャツにタボっとしたズボン、

そしてサンダルというなんともラフな佐久間くん。

休日でも変わらない。

『外から見たら美味しそうに見えて。
でも行く人いないから暇そうな人誘ったの』

「俺が暇に見える！？多忙だよ！？」

「補習でね」

「ちょ、阿部ちゃん！！」

相変わらずなふたりを前に深澤さんがニヤニヤしながら

「じゃあ今日はここ貸し切りだな〜、舘さんいい？」と。

「俺は別に良いけど、豆挽いたんじゃないの」

「3人に振る舞っちゃおーぜ」

多分深澤さんは佐久間くんと同類かも。

せっせと看板を中へ仕舞って、

小窓にCloseと書かれた札を立てかけていた。

「じゃあレディーファーストで。どうぞ姫」

そう言って丁寧に両手でメニュー表を手渡してくれる調理人さん。

物腰柔らかくて、

これまた深澤さんとは住む世界が違うような

雰囲気を醸し出していた。阿部くんたちと一緒。